「かつてない危機」にどう立ち向かうのか((遊技通信2016年7月号より)

昨年来、続いている今のパチンコ機を巡る一連の問題は、この五月末に大きな転換点を迎え、警察庁の強い意向でもって、本年中に回収・撤去を終わらせる方向性が示された。
 
この一年間、例えば機構による遊技機性能調査が始まった際や、複数の一般紙がこの問題を大きく取り上げた時などは、業界内で一気に危機感が高まり、業界団体の対応でそれが少し沈静化するという繰り返しだったが、先の衆議院内閣委員会における国家公安委員長の厳しい姿勢がだめ押しになった。これまで、様々な経験をしてきた古い業界関係者ですら、かつてないほどの危機感と不安感を抱いている。
 
果たして営業に耐えられる代替機が間に合うのか、回収・撤去の費用負担はどうするのかなど、この年末に向けた課題は多い。が、ここまでくると需給間の駆け引きにこだわっている場合でないのは明らかで、全日遊連の理事会や複数の県遊協総会の席上で上映された衆議院内閣委員会の模様を観た関係者の多くが、業界は対外的にひとつにまとまる必要性を指摘する。
 
ホール経営者や業界関係者に聞くと、今年は昨年に比べて収益が二割三割は悪化しているという。昨年も一昨年も同じレベルのダウンを経験しており、さらにいえば来年はさらに落ち込むとの見通しも多い。今回の件は、ただでさえ底がみえない下降線を辿っている状況下で起こったのだから、かつてないほどの危機感が広まるのは当然だろう。すでに新規案件は停滞しており、事業規模の縮小に踏み切るホール企業が増えるという観測も根強い。
 
ホール企業の収益が圧迫されることによって、遊技機を含めた設備投資意欲はこれまで以上に減退する。当然ながら、供給側企業の収益も悪化し、ひいては全体雇用も減少することだろう。今の遊技機に組み込まれる部品の数を考えると、供給側企業にこれらを納入している業界外企業にも大きな影響を及ぼすことことも間違いない。
 
企業の収益が圧迫されると、納税額も減少する。ある調査では、全国のホール企業による納税額は二千億円から三千億円と推計しているが、一方には全国のホール企業が収める法人税額は全体の二%程度を占めているという調査結果もある。これに供給側企業、さらに供給側企業に部品を納めている業界外企業が納める額を加算すると、果たしてどれだけのボリュームになることだろう。
 
雇用の規模や納税額の大きさでもって、業界側があれもこれもと正当性を主張できるわけではない。そのことは分かっているが、こうしたハードランディングになる前に、なんらかの落としどころを見い出すことはできなかったのだろうかと思わずにいられない。
 
行政も業界団体も、遊技産業の成り立ちから発展の仕方、そしてそれが国民に受け入れられていた経緯など考えた上で、この産業の将来的な姿を想定したグランドデザインをまずは描いて欲しかった。そう考えるのは筆者だけではないはずで、一連の遊技くぎ問題で現行法の厳格な適用を優先させ、中長期な視点や広い視野での指導をしてもらえなかったのは残念な限りである。
 
雇用や税収といった側面も含めて、産業としての将来像を伝える先は、やはり政治になるのだろうか。どういう姿かたちで、広く国民に愛される業界にするかを模索するのは業界団体の仕事だろうが、それを実現させるためにはロビー活動が必要な時代に入ってきたのかもしれない。(遊技通信2016年7月号)

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