「考えたり論じたり」ができない課題(遊技通信8月号より)

日遊協総会では恒例となっている警察庁保安課長による講話が、今年も行われた。課長補佐の代読だったが、単なる来賓挨拶ではなく講話というスタイルになるのは、この日遊協総会と全日遊連の新年理事会の年に二回だけで、しかも行政の意向が端的に示されることから、業界関係者は常に高い関心を寄せる必要がある。
 
今回の講話を要約すれば、「射幸性の抑制」「のめり込み問題」「賞品問題」「遊技機の不正改造」「広告宣伝」といった数年来のテーマに「置引き対策」を加えた六点。賞品問題には特に時間を割き、「賞品買取」「賞品取りそろえ」「適切な賞品提供」の三つに分けて詳細に話をした。「遊技くぎの角度を調整と称して意図的に変更した事案」という遊技機問題もかなり気になったが、これについては別の機会で触れてみたい。
 
講話では、自家買いで摘発された事例を「計画的かつ確信的」と強く非難し、「形さえ第三者の賞品買取所ということにしておけば、賞品の買取行為が許されるのではないかといった、甘い考えが蔓延している」と警鐘を鳴らした。加えて、「営業者が買取行為の仕組みを考えたり、論じたりすること自体が、そもそも風営適正化法の趣旨に反する」とまで踏み込んだ。

ここで、思い出して欲しい事例がある。大阪府交野市の遊技場駐車場や賞品買取所が、府の条例で定める遊技場の営業禁止区域内にあるとして、住民が店の営業許可の取り消しを求めた訴訟だ。
大阪地裁は二○一二年十二月、社会通念上「駐車場や賞品買取所も遊技場と一体である」として、住民の訴えを認める判決を下した。
地裁が「一体である」との判断に至った基準は、「構造上の一体性」「管理の一体性」「客の利用実態を含む機能の一体性」の三点だった。

 
一連の訴訟は、結果的には昨年八月の高裁判決では住民らの原告適格を認めず、今年五月には最高裁も上告を受理しなかった。それでも、あえて地裁の判断を業界の現状に照らし合わせると、「構造上の一体性」と「管理の一体性」については、地域差と時間差はあるものの、各地でその是正が促されている。しかし、「利用実態を含む機能の一体性」となると、この是正は難しい。大阪地裁は、現状の賞品買取所は遊技場で獲得した賞品以外の品物を持ち込む利用者は皆無であるため、遊技場と賞品買取所は事実上同一だと判断したが、そのための専用施設なのだから全くもってその通りで、この一体性を解消することは難しい。
 
賞品問題では、暴排や防犯の観点も含め、時には行政関係者も混じってその仕組み作りが行われたことは、古い業界人なら誰もが知っている。ここにきて遊技場側が考えたり論じたりすることもNGと言われ、それでも「機能の一体性」がある案件を、今後は誰がどうやって改善に導くのだろう。
 
業界等価に関する指摘も広告宣伝も、さらには釘調整の問題も、業界側が既得権益のように考えていた事柄が、決して既得権ではなく、ただの慣習であったことを突きつけられたものである。法令をしっかりと理解し、自らの業の範囲をきちんと把握することが、業界変革のスタートだとしても、日に日に舵取りが難しい状況になっている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

RELATED POST関連する記事

NEWSニュース

  • 業界団体
  • メーカー
  • ホール
  • 関連企業
  • 新機種
  • 行政
  • 事件
  • イベント
  • セミナー
  • インフォメーション
  • 就職・転職
  •            
  • コラム
  • その他

PICKUP CONTENTSピックアップ

パチンコ、パチスロともに保通協適合率が微増

2019/11/6

月間遊技通信最新号

遊技通信2019年11月号

主な記事:

厳しいタイミングで6号機の実力が試される展開に
秋枯れ時期と重なる注目機の導入 6号機への本格移行に試練

詳細を見る

税込価格:2,200円 (本体:2,000円)
発売日:2019年10月25日

  • 遊技通信 公式サイト
ページ上部へ戻る

Copyright c パチンコ・パチスロ、業界ニュースを配信 遊技通信web All rights reserved.