危機感共有されても具体化されず(遊技通信12月号より)

遊技業界にとってのカジノはよく黒船に譬えられるが、今年もまた、なかなかはっきりと姿を現わさないこの黒船に振り回されっぱなしの一年だったように感じる。

いわゆるカジノ法案は臨時国会でも成立せず、次の通常国会に先送りにされた。今の政治主導のカジノ問題に振り回されているのは業界だけではなく、例えば行政当局も同様だろう。行政の動向からは、カジノとパチンコ・パチスロとは異なる土俵のものだという姿勢が明確に感じ取られるが、その整合性をつける作業には苦慮している印象が拭えない。

ギャンブルと遊技の区分を明確にすることは難しいにしても、少なくとも両者が並立する整合性をつける作業は必要であり、そのことは行政による講話内容からも窺い知れる。

特にこの数年の行政講話は、遊技機の射幸性や賞品問題などでカジノと遊技との違いを強調し、それに沿った対応を業界側に求めている。が、講話を聞く業界関係者の多くは「厳しい内容だった」「前と同じ内容だった」などの感想を抱くだけで、行政側の姿勢を正面から受け止め、現実的な施策に落とし込んだ実績は乏しい。行政が厳しいのではなく、社会や政治の側が遊技業界に厳しい目を向けているのだとの認識が不足しているのかもしれない。

若年層のパチンコ参加人口が減少の一途を辿っていることは業界関係者なら誰しもが認識しているだろうが、遊技場の経営企業も年々淘汰され、結果として次代を担う若手経営者も減ってきている。

それでも、各県の青年部会が一堂に会する集まりが、この数年間、開催されている。筆者も何度か参加させていただいているが、ここでもまた、危機感は共有されているものの、具体的な施策を展開する手立てに苦慮している様子が窺える。言うまでもなく、遊技場の営業は具体的なものである。

そこには遊技機の持つポテンシャルや賞品の原価率、立地や規模、そして営業方法など、多種多様の変数があり、その組み合わせで様々な解が導き出される。現状は個々の店舗が出した解と、業界全体が進むべき方向性や行政が考える道筋が乖離していることは明らかで、さらにいえば、業界が長く右肩下がりの状態にあるということは、今の解が社会に受け入れられていないということでもある。

また、現在の営業の延長で考えると、新規プレイヤーを獲得するための施策といま現在のプレイヤーを維持する施策とは明らかに異なるが、思えば業界の好調期にはここに特別な仕切り板は不要だった。かつての調子が良かった時の方が導き出される解は単純明快であり、難しい理論も理屈もいらなかったのはなぜなのか。本質的な何かを見失っているのではないか。

長く続く不調を景気や時代のせいにしてしまえばそれまでであり、こうした状況を変えるために必要なのは、細かい修正作業の蓄積なのか、それとも何かしらの大きな変化なのか。まずは、そうした見極めが必要かもしれない。いずれにしても、現在の営業施策を否定するのは、痛みの伴う作業である。

それでも、カジノ問題を軸にした大きな転換期にある今、次代を背負う若手経営者にこそ、今の社会に受け入れられる解を導き出して欲しいものである。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

RELATED POST関連する記事

NEWSニュース

  • 業界団体
  • メーカー
  • ホール
  • 関連企業
  • 新機種
  • 行政
  • 事件
  • イベント
  • セミナー
  • インフォメーション
  • 就職・転職
  •            
  • コラム
  • その他

PICKUP CONTENTSピックアップ

機構検査に備え「検定通知書」「認定通知書」の写しの常備を求める

2020/9/11

月間遊技通信最新号

遊技通信2020年10月号

主な記事:

緊急事態宣言解除後、回復傾向だった稼動も頭打ちか
第2波が直撃 厳しさ目立った盆商戦

詳細を見る

税込価格:2,200円 (本体:2,000円)
発売日:2020年9月25日

  • 遊技通信 公式サイト
ページ上部へ戻る
© yugitsushin Co., Ltd All rights reserved.