社会の要請と産業存立のバランス(遊技通信11月号より)

厚生労働省の研究班によるギャンブル依存症の調査結果は、この臨時国会で成立すると言われているカジノ法案にも影響を及ぼしている。我が国におけるカジノの設置については、一般マスコミの当初の論調は推進派の思惑が軸だったが、最近は慎重派の意見が明らかに目立っている。

SOGSという調査手法によると、我が国にはギャンブル依存症の人が536万人いるそうで、これはさすがに誇大な感が否めないが、依存症にはいくつかの段階がある。

536万人のたとえ数%でも治療が必要な深刻な状況なのだとしたら、母数が大きいだけに社会問題になるのは避けられない。そうなると、仕事や家庭を破綻させかねないギャンブル依存症の人をどう救うのかを考えるのはその産業側の責務になり、産業側が手を拱いているとこれは国の仕事になる。

ただし、今回の調査手法や報道のあり方に疑問を抱く人は業界関係者に限らず、有識者、専門家にも多いようだ。

数年前に発表された厚生労働省のデータを元に、NHKがパチンコ依存の女性が75万人もいるという番組を作った時も同様だが、元来が宗教観や生活スタイルが異なる国の調査方法をそのまま導入していいものかどうか、といった疑問である。

業界内には、「パチンコ・パチスロは賭博ではなく娯楽なのだから『ギャンブル依存症』というのはおかしい」という論もあるが、そうした用語の定義は一度、脇に置きたい。

「パチンコ・パチスロの営業には、そもそもが賭博性が伴っているがゆえに一定の制約を課された存在。広義で捉えた場合にはギャンブル依存症の一形態だ」と言われたら、建前的な反論は通じない。

こうした状況下で、遊技産業がするべきことは、まずは我が国に合った手法によって算出された依存症の数を、正確に把握することだろう。そうしたデータがどこにもないのであれば、業界自らが調査を行っても構わないが、そこにはやはり第三者性が欲しい。

そして、依存問題を抱える人をケアすべく活動している個人や団体の支援。外国のカジノ産業ではすでに同種の取り組みを進めており、業界内でも一部で展開されているが、これを押し進めることは、産業に対する社会の理解を深めるとともに、問題解決への道筋を立てるうえでも有効に違いない。

ただし、これだけでは単なる免罪符扱いにされかねない。そうなると、そもそも論として、ケアが必要となるレベルの依存症を生まないような遊技機開発や営業の在り方の模索が必要になる。

もちろん、ある程度ののめり込みがなければ成立しない業種なのだから、これは兼ね合いの問題だ。その時々の社会の要請と産業存立のバランスを取りつつ、社会の多数派から「そういう取り組みをしているのであれば許容される」と認められる必要がある。

今の日本の社会は、様々な事柄で許容範囲が狭くなっている印象が強い。こうした世知辛い世の中でこれを達成するのは、相当の難事に違いない。

しかし、そういう時代だからこそ一連の課題に対する具体的取り組みが求められているわけであり、これはもはや、業が成り立つための前提条件のひとつと考えるべきなのかもしれない。

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