アジアの遊びと欧米基準の隔たり(遊技通信2015年3月号より)

大型のIRカジノが相次いでオープンするなど、経済発展著しいフィリピンの首都マニラと、その近郊を訪れた。
 
フィリピン経済は現在、 景気浮揚効果を期待した政府によって積極的な公共投資が行なわれており、民間消費を下支えする海外就労者からの本国送金も好調に推移している。コールセン ター事業などのサービス業も大きく成長していて、旺盛な個人消費が経済成長の原動力となり、国内総生産の成長率は東南アジアでも高水準で推移している。マカオやシンガポールよりも人口が多く、労働人口が増加し続けていることも、プラスに作用している。

そのような背景を元に、ある外資金融機関は、フィリピンにおけるギャンブル産業が数年後まで年20%以上の成長を維持し、50億米ドル以上の市場になる見込みだと発表している。

同国は、PAGCORという政府が所有するカジノ運営公社があり、国内のカジノやビンゴゲーム場はここで管理される方式になっている。前述したIRカジノも この公社の認可によるもので、「エンターテインメント・シティ・マニラ」という、観光振興や外貨獲得を目的とした国家的プロジェクトに位置付けられてい る。巨大なショッピングモールも近接地域にあり、計画では4つのカジノホテルが建てられる予定で、うち2つがすでにオープン。外国人や富裕層がターゲット で、訪れてみると、入口でのチェックには相当厳しいものがあった。
 
ギャンブル産業の成長は経済的な要因もさることながら、国内需要は国民の気質によるものも大きい。フィリピンではカジノやビンゴ場のほか、街の様々な場所でロトや闘鶏が生活に根付いており、平日の昼間からこれらで楽しんでいる人が少なくない。

中間層以下の国民にとってIRカジノは敷居が高く、少額で楽しむことができる街中のカジノやビンゴゲーム場に足を運ぶのは当然だろう。こちらにも一応はガードマンはいるものの、未成年者の立入りをチェックする程度で、気軽に入ることができた。
 
フィリピンは道路や鉄道、上下水道などの社会インフラはまだまだ未熟で、政治の面では贈収賄事件も絶えない。昭和30年代の日本を彷佛とさせる、エネルギッ シュで雑多な雰囲気があり、娯楽の面では庶民のさまざまなストレスを解消する術として、格闘技やテレビのほか、ギャンブル的なゲームが人気だ。こうしたところもまた、昭和30年代の日本に近いように思う。
 
そうした、いかにもアジア的な街の様子を見て感じたことは、ここには欧米とは異なるギャ ンブル観が存在するということだ。アジアと欧米の価値観の差異は、狩猟民族と農耕民族の違いとか、宗教観の違いなどとよく言われるが、それらが本当かどうかは筆者にはわからない。しかし、射幸性の伴う遊びにもまた、欧米の感覚とアジアの感覚との差異が間違いなく存在するように映ったのである。
 
敷居が低く、大衆に深く根付いたアジアの遊びを、今の欧米基準のルールでもって鋳型にはめることは難しい。このところのパチンコ産業が置かれている複雑な状況は、そうした無理に起因しているのかもしれない。

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