カジノとの棲み分けは本当にできるのか(遊技通信2017年5月号より)

このところ、業界の先行きの不透明感がより増してきている印象が拭えない。今の業界に霞がかかっているように感じるのは、業界団体がこの業の将来像をどう考えているのかが伝わってこないからのように思う。
 
本欄で何度も書いていることだが、業界団体は現在の課題をこなすことに精一杯で、中長期的な目標やそれに向けた施策展開について、具体的な提示をしていない。というよりも、まずもって右肩下がりが長く続くこの業界をどのようにするべきかについて、具体性が伴った議論を聞かない。こうした状態が長く続けば、諦観のようなものしか抱けなくなるのは当然で、さまざまな業界関係者の話を聞くと、そう感じているのは本誌だけではない。
 
現在、IR推進法の成立に伴って議論されている「ギャンブル等依存症対策」に対する業界の対応もそうだ。この社会的な課題に対して、警察行政の指導の範疇での対応に力点を置いているように映るが、果たしてそれで十分なのかどうか。もっと幅を広げた視点で対応すべきではないだろうか。
 
現在、話し合われているのは、既存の公営競技やパチンコ業界の依存対策だが、それらはこれまで棚上げされていた課題であると同時に、日本におけるカジノ開設に向けた地ならしでもある。その日本の市場に対し、巨額の投資をいとわないと宣言する外資のカジノ経営企業が、近接業種であるパチンコ・パチスロをどう見ているのかに考えを巡らせてみるといいだろう。
 
彼らは、日本にカジノを開業しても、そこで思い通りの収益が伴わなかった場合には、その原因をパチンコ・パチスロの営業が持つイリーガルなところに押し付け、カジノ経営を有利に運ぼうとするのではないか。そういう考えは以前から聞かれたが、そこからさらに突っ込み、彼らは自分らのカジノがパチンコにとって替わる前提で話しているのではないか。だからこそ、日本のカジノ市場が世界で一番有望だとしているのではないか。すでにそういう憶測が、業界の一部で流れている。
 
その憶測が正しいかどうかが問題なのではない。そうした憶測通りに展開する可能性を感じさせてしまう要素が、業界の現状にあることが問題なのである。
 
カジノはギャンブルで、パチンコ・パチスロは遊技だとする二分論は、確かに業界内の溜飲を下げるには役立つだろう。しかし、社会が納得できる存在は、ギャンブルであるカジノか、それとも遊技であるパチンコかという選択をさせた場合、今のパチンコの肩を持つ人がどれだけいることだろう。遊技くぎと賞品流通という二つの大きな課題で、その根本的な解決を先送りにしてきたツケは決して小さくない。
 
特に賞品流通の問題は、業界にとっては「なくてはならない」存在であるにも関わらず、このしばらくの間、「ないものとされる」存在である。業界は、今後もこれをないものとして扱い続けるのだろうか。
 
そろそろ歩みを進めて、業界のみならず、社会にとっても「あった方がいい」仕組みの構築を考えるべきではないか。たとえば、賞品の提供を通じて遊技場と地域社会とで経済ネットワークを形成し、既存の社会資本のストックを有効活用する仕組みなどは、たとえ現行法ではハードルが高くても、積極的に模索していきたいものである。
 
いずれにせよ、カジノとの棲み分けは、当の業界自体が真剣に取り組んでいくべきテーマだろう。
 

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