ホールがひとつにまとまる意義(遊技通信2016年11月号より)

前号では、映画倫理委員会の事例を取り上げて、業界の自主的な取り決めで法令の目的を補完することの必要性について考えてみたが、自主的な取り決めがなくても、個々の企業が成長し、業界が拡大していくことが本来でいえば望ましい姿なのかもしれない。
 
しかし、洋の東西を問わず、ほとんどの業界がなんらかの自主的な取り決めを設定し、それを遵守しているのには、そうした取り決めが同業者間の利益を守るとともに、業としての発展も促せると知っているからではないだろうか。自主的な取り決めは、その産業が社会の声にいかに耳を傾けているかを示すバロメーターと言ってもいいと思う。
 
中世の「座」やギルドに端を発する、本来であればライバルである同業者同士が組織化された背景にも密接に関係する話だが、自主的な取り決めは同業者組合なくして設定遵守されることは少ない。同業者組合が組織されていない場合、数社のリーディングカンパニーによる取り決めが同様の役割を果たすことがあるが、どちらにしても社会の声に耳を傾けて自主的な取り決めを設定遵守することが、企業あるいは業界の中長期的な利益に繋がるという意識があることは言うまでもない。
 
遊技業界を鑑みると、特に現在のホール業界においては、そのような自主的な取り決め、いわゆる『自主規制』が設定遵守される可能性は残念ながら低い。昨年来の「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」に関する一連の出来事を見るにつけ、五つもあるホール系業界団体がいずれも自主的な取り決めを設定遵守していないことに残念さを感じている。今回の問題では、ホール側に被害者意識が強いようだが、「社会の声」にもっと注意深く耳を傾けると、もう少し違う見方もできるように思う。

今回の問題に限らず、これまでも様々な対立局面において見受けられたことだが、仮に全団体で合意することができなくとも、合意した団体のみ、あるいはリーディングカンパニー数社での取り決めでも、社会に対するアピールとして十分に機能するかもしれない。しかし、ホール系業界団体と言われる組織が五つも並立している状況は、その業界が一つに束ねられていないことを意味し、その業界に属する企業にとっては必ずしも好ましい状況でない。
 
スポーツ界では、先ごろ新たなリーグが誕生した男子バスケットボールで起きた一連の経緯から学ぶべきものがあるように思う。分裂した団体間の確執によって、国際統括団体や行政当局から処分や指導が下され、結果的に選手やファンをはじめとするバスケットボール界全体がどれだけの不利益をこれまで被ってきたのか。ホールの同業者団体が一つになれず、自主的な取り決めも設定遵守できないようでは、男子バスケットボールと同じ轍を踏む危険性が高く、この先も継続的に行政からの指導に振り回されることになりかねないのではないか。
 
ホールの同業者団体は一つ存在すればよく、「ホール系」の業界団体はぞれぞれの理念に立ち返り、果たすべき役割に邁進することで、最終的に業の発展に寄与すればよいのではないだろうか。ギリギリになってひとつにまとまり、華々しく開幕した男子バスケットボールのプロリーグをみて、一つにまとまることの意義をあらためて感じたのは、筆者だけではないだろう。

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