強制力に拠らない射幸性の抑制へ(遊技通信2016年3月号より)

遊技くぎ問題に関連した質問主意書が1月中旬に提出され、内閣総理大臣からの答弁が同月下旬になされた。内容は本誌ニュース欄に掲載しているので、参照されたい。
 
このやりとりで注目したいのは、初鹿議員の質問がメーカーの非を追及しているのに対して、内閣の答弁ではメーカーだけではなく、ホールの責任も言及している点である。後述する警察庁保安課長の講話でも、「製造業者の関与があるからと言って、営業者の風営適正化法上の責任が免責されるわけではありません」と明言している。
 
しばらく前の小欄で、自動車メーカーによる排ガス不正問題と遊技くぎ問題は、構造的には近いものがあるが、その収束方法には自ずと違いが出てくるだろうと書いた。世間でも、この問題を同じ構図で捉える向きがあるようだが、収束の仕方では排ガス不正と同様、メーカー責任を強く問う声が多いように映る。今回の質問主意書に限らず、特にホール関係者にはメーカー側の責任を明確に認めさせたいという思惑が、明らかに強い。
 
ただしこれは、ホール経営における遊技機費用が経営の圧迫要因になっているせいであり、メーカーが窮地に立つことでホールの溜飲が下がるという、どこか気分的なものを欲している気配も否定できない。また、メーカーが責任を認めることによって、相対的にホール側に利が出るように考える人もいるようだが、それもどうだろうか。
 
これだけ厳しい状況に追い込まれている遊技業界なのだから、建設的な方向に進むためにも、一致団結して事に当たるべきではないだろうか。
 
今回の答弁書に限らず、最近の行政は、「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」について、『撤去』と『回収』という、結果は似通ってはいるが意味合いが異なる言葉を巧みに使い分けている。製造者だけではなく、営業者にも責任があることを窺わせつつ、業界内部での事態の収束を求めている。
 
確かに、一連の問題は法令に基づく処罰を受けない形で収束されるのが理想だろう。しかし、「おおむね」とか「著しく」といった曖昧な語句が並ぶ法令による課題も、ここ数年であらためて浮き彫りになっている点も忘れてはならない。そうした曖昧な要素に助けられたり苦慮したりしてきた業界としては、その整理整頓をすべきタイミングなのかもしれない。
 
先の全日遊連理事会の席上で行われた行政講話は、これまで同様、「射幸性の抑制に向けた取組」から始まり、のめり込みや遊技機の不正改造、賞品提供、広告宣伝、置引き対策など網羅的なものだった。遊技くぎの問題での遊技機入替と流通業務の健全化に具体的に触れている点が現在進行形のテーマだが、前回、前々回の講話で指摘したことを業界が解決できていないとの見方をしているのは明らかである。
 
また、講話の最後では「射幸性の適正管理が最優先課題」と繰り返しており、これはもはや避けようがない課題であることを強調している。であるならば、アクシデント的要素や強制力に拠らず、業界自らが射幸性の抑制に向けた理想的なスタイルを模索し、自らの手で現実のものにしていきたい。ホールとメーカーが対立軸にあるままでは、その作業は明らかに難しい。
 
業界の目下の課題は「適正な遊技機への入れ替え」だ。事の成否は、業界全体にかかる益の重要性を、ホール系団体の指導者層が傘下ホールに理解してもらうかにかかっている。歩みはゆっくりでも、確実に前進していくための道標を示す必要があるだろう。(遊技通信2016年3月号より)
 

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