現実的で段階的な対応はできないのか(遊技通信2015年11月号より)

ドイツの大手自動車メーカーによる排ガス不正事件は、その測定方法の仕組みを悪用し、試験時には排ガスを浄化する装置を稼働させて有害物質の排出量を低減させるが、通常走行の時にはこの機能が働かず、有害物質の排出量が増えるというものだった。
 
アメリカのNPO法人などが行った調査がきっかけとなって発覚したもので、結果的には全世界で一千万台を超える車両が対象となり、数兆円とも言われる制裁金が課せられる可能性があるという。試験時と実際とで性能に違いが生じていることが問題視されたという点で、遊技くぎ問題と似通った図式だと思った方も多いことだろう。自動車の燃費などがカタログ値と大きく異なることは、大方のドライバーならば知っていることであり、その点でも遊技くぎ問題にどこか似ている。
 
ただし、遊技くぎ問題では、法令を厳密に捉えると違法だが、ホールにおける利益調整手段として業の草創期からあるものだという認識が、一方に根強い。しかも、こうした認識は遊技機を製造する側も使う側も、そして遊ぶ側も持っていたことなので、どこかで「法律のほうがおかしい」という感情を抱かせ、根本的な罪悪感を抱きにくい状態が続いていたように映る。
 
本誌は今でもそう考えるが、試験時と実際とでの乖離が大きく、しかもそれが遊技機の射幸性を上げるための手法として常態的に行われているとなると、これは問題視されて当然だろう。
 
遊技産業健全化推進機構による遊技機性能調査で、行政通報をしないとされた期間は十一月末までだ。猶予は残り少ないが、行政当局や機構が求めた基準にはほど遠いのが現状であることは周知の通りである。
 
日遊協が勉強会で示した内容は、行政から指摘された現状の問題点を、少しでも改善するための暫定的な基準に過ぎず、ところがこれが独り歩きしているという懸念をよく聞く。しかし、そういう懸念を抱く人に「ではどうすればいいのだ」と尋ねてみても、明解な回答をしてはくれない。
 
行政通報までのカウントダウンが進むにつれ、一方には焦燥が広がり、また一方では「誰かがなんとかしてくれるだろう」という考えも広がっている。何をすればいいのかがわからない状況が続くと、思考が停止するのだろうか。
 
現在、遊技くぎ問題だけではなく、今後の遊技機環境を大きく左右する各種事項の協議が、各団体内や団体間とでなされている。ハードランディングを避けるよう慎重になっているのか、それとも団体間の調整に手間取っているのかわからないが、少なくともその進捗状況は芳しくないようだ。特に遊技くぎ問題などは、どう考えても段階を踏んだ対応が現実的なのだが、その現実を認めない中での議論では、いたずらに時を過ごすだけだろう。
 
いっそのこと、「今すぐの対応は無理だ」と言えないものなのだろうか、とも思う。遊技環境の正常な在り方について、まずは具体的な着地点を設定し、それに向けてそれぞれの立場がどう行動するか。その工程表を示し、現実的かつ段階的な対応をした方が、何の誤魔化しもしない問題解決の早道に思えるのだが、どうなのだろう。
 
自動車にはリコール制度で事態の収集を図る仕組みがある。ましてや、生活になくてはならないものとして存在しているので、業界全体を排除する動きにはつながらない。その点でいえば、遊技産業を同じ図式にあてはめると厳しい結果になりかねない。(遊技通信2015年11月号より)
 
 

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