産業の将来を見据えた対応(遊技通信2015年12月号より)

先月号の小欄では、ドイツの大手自動車メーカーによる排ガス不正事件と遊技くぎ問題は、その構図は似ているが、置かれている環境の違いで事態の収拾方法には差があることを考えてみた。締め切り間際になって、またしても「遊技くぎ」に関する出来事が飛び込んできたので、補足も兼ねて、今回もこの問題を考えてみたい。
 
業界に長く横たわる課題で、解決が難しいのが「遊技くぎ」と「賞品流通」であることは、業界関係者の共通認識だろう。この問題の解決が遅々として進まない背景には、現行法に則った原則論通りに行うことが困難なあまり、「では、どうすればいいのだ」といった、一種の開き直りにも似た感覚が最近の業界側にあるように映る。法と現実の乖離を放置しているうちに、その開きが大きくなり、身動きが取れなくなった印象が拭えない。賞品流通問題は、今ではホール側は考えることも論じることもダメだといわれた案件である。遊技くぎ問題でも、今回、「問題があるなら直していいのか」、「いや、やはり触ってはいけないのか」、といった疑問が囁かれ、結局は「どうすればいいのだ」という状況になった。
 
ただし、開き直って事態が解決するわけでもない。産業としての視点に立つと、問題の解決を行政のみに委ねては、あまりいい結果に結びつきそうもない。行政は世論や社会の動向を元にした施策を遂行する役割を担っている。遊技人口が減っている中にあって、さらには各種の批判に晒されがちな業界を保護する施策を取る可能性は、現状では極めて低いと考える方が自然である。やはり、自助努力が必要だ。
 
11月上旬に警察庁が全日遊連など5団体に要請した「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機の撤去」は、原則論でいえば、警察庁が求めているように可及的速やかに撤去すべきなのだろうが、費用や時間という現実を考えると、問題はそう簡単ではないのは誰の目にも明らかだ。

  
日工組は今回の警察庁宛の文書で、検定通過時と異なる性能の遊技機を出荷したことに、供給側としての責任の一端を認めているが、そうした遊技機を営業の用に供した責任自体はホール側が背負う。細かく触れないが、行政上の責任を問う声も少なくない。
 
こうした状況下で、刑事罰がない法20条第1項を持ち出されると、なんとなくいい落とし所にも映るが、責任が曖昧になる分、今回に限っては、少なからずのホールが釈然としないだろう。刑事罰が伴う法令の適用は誰もが避けたいにしても、補填があろうと下取りがあろうと、結局のところ、新台を購入しなければならないのはホールだという、被害者意識が一番強くならざるを得ない立場にある。しかも、その新台がどれだけの安全性を担保しているのかも定かではない。
 
問題となる遊技機を一掃するには、確かに当該遊技機の「可及的速やかな撤去」でも達成できるが、家電や自動車でみられるリコール制度のような修繕措置で、可能な限り対応できないものなのだろうか。現行法の下ではないが、過去には法令の端境期や不正機排除のために、ハンドルやら基板やらを取り替えた経験が業界にはある。
 
今、それができない要因は何か、そしてそれを取り除く手法はあるのか、業界団体は考えてみてもいいのではないか。今回の件では間に合わないにしても、結果として問題を解決する道筋を探ることは、産業の将来を見据えると無駄な作業ではないと思う。(遊技通信2015年12月号より)
 

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