社会からの目線と行政の指導(遊技通信2015年10月号より)

このところの業界は、様々な課題や問題が複雑に絡み合っているせいか、個々の企業努力の延長に好転要素を見い出しにくい状況になっている。しかもその要素の少なからずが行政の意向に左右されているものなので、当然、その解決に向けては、業界団体が担う役割が大きい。
 
厳しい規制を矢継ぎ早に繰り出してくるといっても、行政は遊技産業をなくしたいわけではなく、ただ法令に基づいた形態にきちんとはめ込みたいだけに違いない。ただ、その方向性や手法が業界関係者には性急に過ぎるように感じられ、また、既得権だと信じてきたいくつかの事柄を否定されたことによって、混乱が生じているのだろう。
 
こうした状況を乗り越えていくために考えたい視点は、「行政の施策を左右している要素はなにか」と「その要素を変化させるためにできることはなにか」の二点だ。そして、この二つを正確に見極める上で必要なキーワードは、やはり『社会』である。
 
例えば、くぎの調整がパチンコ店の利益調整手法であることは、かつては誰もが知っている一種の社会常識であった。ところがインターネット上では、しばらく前から「くぎ調整は違法」という書き込みが散見されるようになり、ネット上での匿名の誹謗だとタカを括っているうちに、その考えが社会に広がっていった。社会の認識が変われば、行政もその是正に乗り出さなければならない。
 
一連の遊技くぎ問題には、「パチンコ・パチスロ遊技とはどのようなものなのか」「遊技場営業はどのような立ち位置のもとで成り立っているのか」について、社会の見方が変化したという要素が根底にあるように思う。
 
社会と共生するために法令と現実の乖離を埋める作業というのは、行政や政治との折衝が必要だが、こうした作業は個々の企業では担えない。というよりも、それはルール違反になる可能性が高く、筋道としてはやはり業界団体の仕事だ。専門スタッフを置いた業界団体が、産業側の意見と行政の意向を組み込んだ施策を内外に提示し、社会・行政・産業の三者が納得しうる道筋を立てるという作業だ。

いずれにしても、自由経済下で民間企業が収益の極大化に向かうのは当然で、しかし全ての商売は何かしらの法令の縛りを受けている。遊技産業が行政講話のたびに法令遵守を求められる状況は、本来であれば異常事態なのだが、あまりに繰り返されるために、どこか麻痺している印象が拭えない。
 
閉塞感が漂う現状を打破するために必要なのは、まずは「行政の指導は社会の要請」という共通認識の形成だ。その指導内容に異論があるならば、つまり業界側の主張に社会がついてきてくれると判断するならば、堂々と反論してもいいと思う。が、今、その主張をできる団体があるのかどうか。
 
こうした視点で行政講話を読み返すと、要請内容のすべてが「あなたたちは、もう少し社会を味方につけたらどうですか」という問いかけばかりだ。社会の一員として収益を上げる民間の側が、行政に気を遣わせているようなもので、普通に考えるとこれは言われるまでもない事柄だろう。
 
内輪同士の議論の中で、主張を異にする団体が乱立する事態は「船頭多くして船山に上る」状況になりかねない。社会は遊技産業に何を求めているのか、そしてその要請にどう応えていくべきか、業界団体は「小異を捨てて大同につく」勇気を持つべきだと思う。(遊技通信2015年10月号より)
 
 

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