社会の認識の乖離と向き合う姿勢(遊技通信2017年1月号より)

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるカジノ解禁法案が衆参本会議で可決された。この問題に対する社会の関心は高く、一般マスコミは特にギャンブル依存問題を懸念する報道を連日のように流している。
 
日本国内にカジノはあってもいいというのが筆者の率直な考えだが、一方でカジノを含めた統合型リゾート施設が経営的に成り立ちうるのか、あるいはどのように成り立たせるのかについては疑問を持っている。
 
統合型リゾート施設は、カジノの収益でもって施設全体の経営を成り立たせるのが前提である。当初は訪日外国人旅行客を増やすための観光戦略の一環だったと記憶しているが、今ではそのような考え方を聞くことは少なくなった。カジノ目当ての訪日外国人旅行客がどれだけいるのかを冷静に分析した結果かもしれないし、実は当初から内国人を対象とした経済戦略だったのかもしれない。
 
近年の成功例として引き合いに出されるマカオやシンガポール、その他の東南アジア諸国のカジノの多くは、経済が好調だった中国からの観光客に支えられたことは周知の通りだ。我が国におけるカジノも、つい数年前までは中国人旅行客を主たる顧客として想定していたと思うが、法案成立に手間取っている間に中国経済が失速気味になり、中国人観光客の爆買いも控えめになったのは周知の通りである。
 
それでもカジノを作るというのであれば、経営を成り立たせるために国内の人に足を運んでもらわなければならない。そうなると、やはり「依存症対策」が大きなポイントになる。国会でも一般マスコミでも、厚生労働省が以前発表した例の「五百三十六万人」を取り上げ、当たり前のようにそこにパチンコ・パチスロをまぜ混んで議論するスタイルが定着している。

業界としてはギャンブル依存の問題だけはなく、カジノ経営の成否にパチンコ・パチスロが巻き込まれる可能性も懸念しなければならない。カジノの競合相手として想定される産業は公営ギャンブルだけではなく、社会ではパチンコ・パチスロも含めている。カジノ経営が上手く行かなかった場合、我が国にはパチンコ・パチスロが存在するという環境に原因を押し付けてくることは、大いに考えられる。
 
遊技業界はこうした議論が沸き起こった時に口をつぐむ傾向が強い。パチンコ・パチスロが法的には娯楽であるものの、一般社会からはギャンブルであるという認識を持たれているという現実に、正面から向き合っていない。
 
いずれにしてもカジノ推進法の次は実施法であり、議論はまだまだ終わらない。ここでは再度、依存問題と並んで民間賭博を法的にどう認めるのかが課題になってくる可能性が高い。業界はここでも、説明が言い訳に聞こえてしまうことを懸念したり、説明する材料自体に不足して、これまで通り沈黙を続けるのだろうか。
 
例えば、法務省は数年前、刑法が賭博を犯罪として規定している趣旨や法案に対する省としての立場を文書で説明している。社会安全研究財団とお茶の水女子大では、「パチンコ依存」について全国標準サンプリングに基づいた調査を行い、実態を把握する考えを示している。こうした、業界をきちんと説明するための客観的事実を積み上げ、社会に対して説明する姿勢やその説明で社会の多くが納得してくれる実態づくりを急ぎたい。

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