社会的不適合機撤去の想起は杞憂か(遊技通信2015年4月号より)

日工組がぱちんこ遊技機に関する申し合わせを行い、大当たり確率を引き上げるとともに、初回大当たりにおける獲得遊技球数の最低値を新設した。これについて、本誌でも当初は内規の改定と思ったが、関係者によると内規改定と同等の意味合いがあるものの、状況に合せて柔軟に対応していくために『申し合わせ』という位置付けにしたのだという。
 
言うまでもないが、この申し合わせは、行政当局が業界に繰り返し求めてくる早急な依存(のめり込み)対策について、遊技機メーカーとしての姿勢を示したものだ。今年1月の全日遊連理事会における行政講話では、「遊技客の費消金額や獲得賞品総額を抑えること」と「偶然性に過度に依存しない遊技を創出していくこと」の2点を挙げて射幸性の抑制を求めていた。
 
依存問題への対応については、多くの業界関係者が指摘する通り、カジノ合法化議論との関連性は窺われる状況にあるが、行政側はあくまでも「遊技場営業は風営法に規定される娯楽の範疇にある」とする、基本的な立場を明確にしたに過ぎない。講話内容からも窺える通り、依存問題には費消金額の多寡が大きな影響を与えていると行政が考えていることは明らかで、遊技料金の引き下げを企図しているとの観測すら聞くようになっている。
 
費消金額を抑えさえすれば依存問題が解決するというのは単純な議論だが、このままでは社会がそれを求めそうな雰囲気にあるのも確かで、それを回避するには、表面上のパフォーマンスではなく、やはり打ち出された施策が持つ実効性が問われることだろう。ここで柔軟姿勢を持つことは、非常に重要なポイントといえる。
 
これまでは、ぱちんこ遊技機と回胴式遊技機のどちらか一方が抑えられると、もう一方が相対的に良くなる関係性が長く続いたが、今回の申し合わせは昨年の回胴式遊技機に関する一連の規制と立て続けだ。ホール営業はさらなる混乱期に入る可能性が高いだろうが、しばらく我慢していればメーカーの開発努力によって、規制の中でも徐々に射幸性が復活するとの見立ても根強い。ホール営業のハードクラッシュを回避するためにも、そうした経験則に基づく展開に期待する人もいるだろうが、打ち出されたのめり込み対策に実効が伴わないとなると、その後のリアクションがより大きくなる可能性は否定できない。
 
今の空気感は、20年近く前の社会的不適合機撤去の頃に近いものがあるように感じるのだが、複数の業界関係者は「それは少し大袈裟だ」という。業の衰退が始まった20年前の出来事を思い起こすのが杞憂であれば、それに越したことはない。しかし、射幸性の問題で社会と業界の間で認識にズレが生じたら、行政は社会の側に立ってこれをコントロールする立場だ。このところの行政のスタンスは明らかに『社会』を意識しており、業界側にはそのことの危機感が薄いようにみえてならないのである。
 
各種の法令を改定されることなく、この厳しい状況を乗り切るためには、個店個社の知恵による取り組みには限界があり、業界団体による倫理的な取り決めが不可欠に思う。法令を改定されてから不自由さに悔やむよりは、自分たちで取り決める自由を選択したほうがよいのではないだろうか。
 
 
 

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