自ら望む「あるべき姿」が聞こえてこない(遊技通信2017年2月号より)

いわゆるカジノ解禁法案が昨年末の臨時国会で成立したことを受け、今年はパチンコ・パチスロの「あるべき姿」とはいったいどのようなものなのか、これまで以上に問われる年になることだろう。
 
パチンコ・パチスロが法的には風営適正化法で規制を受ける「遊技」であるとされているにもかかわらず、世間からは「賭博」だと認識されていることは明らかである。
 
一般的な解釈でいえば、刑法百八十五条のただし書きにある「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は賭博罪が成立しない。「一時の娯楽に供する物」とは価格の僅少性と費消の即時性の両方を加味して判断するとされ、食事や飲料などがこれに当たる。金銭そのものの得喪を争う場合は、金額の多寡に関わらず「一時の娯楽に供する物」には該当しない。
 
パチンコ・パチスロは、このただし書きの「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる」ものである。風営適正化法で遊技とされるための要件が細かく定められ、その範疇である限りにおいて営業が認められるのが基本だ。しかしそれは、プレーヤーが玉やメダルを借り、遊技し、獲得した玉やメダルを賞品と交換するという一連の流れの枠内で完結させた場合の話である。
 
いうまでもなく、現実にはプレーヤーが獲得した賞品を買い取る店舗が遊技場のすぐそばにある。社会はもとより、行政も司法も周知のことだが、その遊技場の外の存在まで含めた結果が、パチンコ・パチスロは賭博だという世間の認識につながっている。
 
つまり、業界の「あるべき姿」の模索では、この賞品問題はどうしても外すことはできないのである。

ところが、業界に携わる多くの人がこうした事実に知らん顔をして、賭博を巡る今後の議論をやり過ごそうとしている印象が拭えない。それでやり過ごせるのであれば構わないが、そう簡単にいかないだろうという認識も一方に多く、つまりは何をどうすべきか手を拱いてるのだろう。
 
パチンコ・パチスロを「一時の娯楽に供する物」を賭ける遊技という枠内にきっちりと収めるという強い意思が働き、各種の厳密な調査がさまざまな観点から行われた場合、現在の業態を維持できない事態に追い込まれてしまう可能性は否定できない。
 
そんなことはありえないという意見もあるだろうが、現状でいえばそれは希望的観測に過ぎない。パチンコに対する世間の反応には、明らかに厳しいものがあり、これから起こるであろう、我が国におけるカジノの「あるべき姿」の議論の過程で、パチンコ・パチスロの「あるべき姿」の検証が行われる可能性は極めて高い。
 
言い換えると、「あるべき姿」は法的な側面だけではなく、「今後の理想像(=ビジョン)」でもある。今の業界は、ビジョンと現状との隔たりを埋め戦略や戦術を立てていかなければならない状況を迎えているのは明らかだと思う。そうした、正面を向いた考えを今の業界団体から聞くことがないのが残念である。
 
世間の一部では、行政と業界の癒着も当たり前にように語られることがあるが、行政はむしろ社会の声の方を重視するのは当然で、実際、これまでもそうだった。自ら望む「あるべき姿」が業界から発信されなければ、なおさら社会の声だけが判断基準になる。こうした状況下で、今後も現状維持ができるとは思えないのだが。

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