自己責任方式で社会は納得するのか(遊技通信2015年1月号より)

このところ、業界内の企業や団体から講演のご依頼をいただくことが増え、様々な場所で現状と将来の見通しについてお話しするのだが、その際、今後の注目点として挙げるのが「賞品流通の在り方」と「依存・のめり込み問題への対策」の行方である。業界団体の会合の席上で行われる行政講話でも必ず触れられるテーマである。
 
前者の「賞品流通の在り方」については、現実面で考えると、法令や講話、論文等によって示されている基準を守るしかない課題だ。逆にいえば、基準を満たしていない部分があれば、満たすよう修正していく以外に手はない。その業界側の対応は明らかに鈍いが、何をどうすればいいのかという具体論に関しては、比較的分かりやすい。
 
ところが、後者は違う。なにをもって依存・のめり込みとするのすら曖昧で、言葉の定義などの共通認識がなされていない。依存やのめり込みのどういう部分は許容され、どういう部分が批判の対象になるのか、業界関係者どころか有識者の間でも認識に違いがある。土台すらないところで何をどうすればいいのかは難しい問題で、しかし今の業界は各所から非難、批判に晒されているのが現実であり、それを言い訳にできない状況に追い込まれている。
 
難題とはいえ、放置できない課題であることを受けた業界団体では、現在、それぞれの立場でどのような対策を取るべきかの議論や整理を進めているという。議論の途中で口を挟むのもなんだが、社会が求める対策ポイントとズレが生じないかどうか、懸念される点に触れておきたい。
 
具体的には、今の業界団体は現状の売上や利益を維持したまま、プレイヤーの自己責任で遊んでもらえる環境づくりを基本にしているように映るのだが、果たしてこれで社会や行政が納得してくれるのかどうかだ。今まで繰り返された行政講話では、遊技機の射幸性や遊技費用の低下を促しているのが明らかで、ところが業界側はそのことをどこか棚上げしたまま対応策を練っている印象が拭えないのである。
 
かつて、行政担当官が講話のなかで、射幸性の低い遊技機の在り方について「およそ五千円で二時間以上遊べる」としたことがある。「身近で手軽な大衆娯楽」であるための方向性として、この時は遊技料金の低額化が主軸に据えられた。もう十年近い前の話だ。
 
その後、「遊パチ」と並行して、一円パチンコに代表される遊技料金の低額化も進行した。ところが、今では一連の遊技料金の低額化がホールの経営を圧迫し、それを補うための高い射幸性の遊技機や営業方法の比率も高まった。結果的に射幸性の二極化が定着してしまい、この一方の側に存在する高射幸性機や営業方法こそが、今の社会や行政からの批判の対象になっている。しかも、こうした批判に晒されているスタイルでもファン離れは加速し、誰もが経営的に苦しい状況を招いている。
 
こうしたちぐはぐさを放置したまま、プレイヤーの自己責任に任せた施策を打ち出し、社会や行政が納得するのかどうか。やはり、議論の土台になるべき共通認識と共通理解はどう考えても必要だ。「誰が」「何に」「どのような」批判をしているのかについて、まずは整理すべきではないだろうか。

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