行政講話は言い放しでは終わらない(遊技通信2015年7月号より)

この6月から、遊技産業健全化推進機構による『遊技機性能調査』が始まった。調査方法などはすでに様々な場面で周知されているが、遊技機の状態が取扱説明書通りになっているかをこの基本に据えたことで、かつてない危機感が広がっている。
 
いうまでもなく、釘調整はかつては遊技場営業における通常業務のひとつだと誰もが考えていた。というよりも、ぱちんこ機は釘でもって利益調整を行うことが、法令前から存在した遊技機としての構成要素だ。そのため、極端な釘曲げ以外は、特に不法行為をしているという意識が業全体に薄かった。
 
ところが10年ほど前、メーカーがホールの営業釘に関わりを持たなくなった頃から、それまでの通常業務が一気にグレーゾーン扱いになった。釘調整は本来的にも現在も、ぱちんこ営業に欠かせないものであるにもかかわらず、その後、法と現実の乖離を埋める作業は放置された。過去の業界団体の対応を今さら悔やんでも仕方ないが、元々が「整備」とか「メンテナンス」といった言葉の置き換えで済むものではなかったと考えるべきだろう。
 
今回もまた、一般入賞口に一定数の玉が入ればそれでいいという、矮小化した考えが一部で広がっていたが、先の日遊協総会における行政講話で、そうした甘い考えは通用しないことがはっきりした。課題が正面から突き付けられた5月中旬以降、多くの業界関係者が落とし所が見えないといっていた問題は、実は原則論以外に落とし所はなかったのである。それまでは原則論をふりかざすと、ますます窮地に追い込まれるので、あまり騒がない方がいいといった考えも聞いたが、嵐が頭上を過ぎ去るのを待っていればいいという処世術は、今回は通じない。現状がすでに「極端な釘曲げ」であるという厳しい指摘自体には、反論ができない。
 
検定品を取扱説明書通りの状態にするという、一般的に考えて当たり前の事柄でもって、どうしてこんなにも混乱するのか。問題の本質部分や責任の所在も含めて、絡んでしまった糸を解きほぐす作業が求められる。
 
今回の釘問題は、すでに行政講話などで指摘されていたことであり、その指摘が改まらなかったがために大きな問題に発展しているのだ、という見方をする人もいる。たしかにその通りだろうが、行政講話で指摘される内容は多岐に渡っており、しかも繰り返し指摘しても、特に改まったとはいえないものばかりだ。分かりやすい事例では、複数回に渡って指導された射幸心をそそるおそれのある広告宣伝で、通達内容をかいくぐるようなイベントがまたもや一般化してきている。
 
例えば、現在、様々な問題も派生している取材系イベントは、ライターと機種が紐付いていることから、分かる人には分かるという意味でも、まさに規制対象である「隠語やそれに類する表現」だ。しかも、こうした現場で行われていることを経営側がコントロールできていない様子も窺える。この状況がいかに怖いことか、過去の多くの摘発事例が物語っている。
 
いずれにせよ、最近の行政講話で指摘された内容は、是正に向けた具体的な指導、指示が伴っている。かつてと違い、言い放しでは終わらない。我々は最近の問題の多くがカジノ法案の行方に右往左往させられていると思いがちだが、求められているのは現行法の遵守であり、その共通認識が構築できない限り、業全体がますます窮地に追い込まれる流れになっている。
 

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