2022.7.7

【レポート】ダイコク電機「DK-SISオンラインセミナー 躍進」、業績アップ手法を解説

ダイコク電機は6月20日から24日まで「DK-SISオンラインセミナー 躍進」を開催し、今後の業績向上につながる様々な営業手法を解説した。

まず主催者挨拶で大上誠一郎代表取締役社長は、「DK-SIS集計以来、パチスロは最も低い業績で推移しているだけでなく、4円パチンコもハイミドル機の性能依存が色濃く出ており、低迷するパチスロの業績を補う図式で最も辛い遊技時間粗利で推移している。この状況を踏まえて躍進につなげるには、営業競争力の維持・向上と固定費の削減という相反する2つの両立が今後の業績向上への大きな課題だと捉えている。ただし、固定費の削減は入替コストの削減が最重要テーマだと思われがちだが、営業競争力を落とすことにもつながりかねない。今は相反するこの2つを今後どのような手法で両立させていくかが問われている。今回のセミナーでは、時流に応じた『躍進』への営業手法を提案したい」と述べた。

セミナーは日毎に前半・後半の2部構成で行われ、前半は業界動向の解説と20円パチスロの業績を上げるための手法、後半は4円パチンコの業績を上げる手法をテーマに、同社MIRAIGATE-SIS統括部の片瀬宏之首席講師、成田晋治上席講師、服部祐治上席講師、竹河雅斗常任講師が日毎に2氏ずつ講演した。

 

◎業界動向、4円パチンコの好調さと20円パチスロの厳しさが明確に

2021年の業界規模は、売上はパチンコ8.2兆円・パチスロ6.4兆円、粗利はパチンコ1.41兆円・パチスロ0.98兆円。パチンコは売上・粗利とも前年を上回り、パチスロはすべて下回ったが、業界全体では売上は横ばい、粗利は微増で推移したとし、パチスロの下落分をパチンコで補っている状況を示した。また、2021年の業界全体の遊技機購入費0.70兆円、遊技機利益1.69兆円という関連データも初披露し、「新規則機入替が進んで遊技機購入費がかさみ、遊技機利益は過去最低を記録した」と説明した。

4円パチンコと20円パチスロの月間業績推移(2021年4月〜2022年4月)をみても、4円パチンコは前年同月のアウト・売上・粗利を上回り、20円パチスロはすべて下回った。特に粗利では4円パチンコ3,210円、20円パチスロ1,960円と差が大きく拡がっている。遊技時間をみても2022年4月の4円パチンコは2時間32分、20円パチスロが2時間44分とまだパチスロが長いものの、2021年4月の遊技時間の差は30分以上あったのが12分まで縮んだ。また遊技時間粗利をみると、業績が好調な4円パチンコが1,270円と活用が辛くなり、業績が厳しい20円パチスロが710円と活用が甘くなっているため、歪なかたちになっていると指摘した。また、同社の商圏分析サービス「Market-SIS」によるファン動向分析では、2022年1月と4月でファン人数を比較すると20円パチスロは大きく下落した。さらに同社の顔認証システム「Xai-FACE」によるファン動向分析でも、20円パチスロのみ遊技していたファンはクロスオーバーファン(4円パチンコと20円パチスロの両方を遊技)へ移行、クロスオーバーファンは4円パチンコのみ遊技へ移行していると推測した。

 

◎20円パチスロの業績アップにつなげる「新台入替」と「メイン機種の構築」の分析

まず2022年2月〜4月の3カ月間のパチスロ新台台数シェアのデータを示しながら「新台入替」が20円パチスロの業績向上につながるかどうかについて解説。4月までの業績推移をみると、新台台数シェアが大きい店舗ほど業績が高めになる傾向がみられる一方、2月から4月の1日1台あたりの遊技機利益(1日1台あたりの台粗利 − 遊技機購入費)をみると、逆に新台台数シェアが大きい店舗ほど低くなる傾向がみられるとし、「現状では20円パチスロは新台導入の効果はあまり高くない」と説明した。なお、新台導入効果に把握については、同社のホールコンピュータ「Xシステム」の「Xai-SIS」の活用を紹介。遊技機利益を含めた店舗営業収支のデータ管理が容易にでき、店長も確認することにより経営者目線のデータ分析が可能になるとした。

また「メイン機種の構築」については、現状の20円パチスロでメイン機種になりうる機種として「S押忍!番長ZERO」を紹介。商圏分析サービス「Market-SIS」による2022年5月のATタイプ・開店時稼動率ランキングを示した上で、「稼動率上位機種のうち『番長ZERO』は平均台数、客数とも最も多い。開店時稼動率も29.5%と高く、朝一の来店動機にもつながっている。台数別業績推移をみると、台数が多いほど高いアウトが維持できており、新台導入時の2月と時間経過した4月の比較でアウト維持率も高い。『番長ZERO』を多台数揃えることが20円パチスロの業績向上につながっているため、新台の業績が奮わない中では、増台も検討してほしい」と提案した。

さらに、メイン機種の構築につなげる設定活用についても解説。「S押忍!番長ZERO」を10台以上設置している店舗を抽出し、直近4月のアウトの高低で業績をみると、アウトが平均より低い店舗は設定1がメイン、アウトが平均より高い店舗は設定2がメインになっているとして「設定2でもしっかりと粗利確保できているため設定2をメインモードとして活用し、高設定も使いながら粗利バランスを考えて設定1も使うといったモード活用が有効」とした。また、平日と土日祝日別のモード活用分析データをみると、平日は設定2をメイン、土日祝日には設定1をメインにしている店舗が大多数のため、「土日祝日も設定2を中心に活用すると、稼動が上がって20円パチスロ全体の業績も高くなり、朝一の集客効果も見込めるため他の機種にも波及する。平日・土日祝日を合わせた期間平均で設定1がメインにならないよう注意すれば、さらなる稼動アップが見込める」とした。なお、平日と土日祝日のモードシェアについては同社のホールコンピュータ「Xシステム」の「Xai-TACT」にある推移データ帳票で簡単に確認できるため、その活用についても促した。

それでも20円パチスロ全体の業績を上げるには「S押忍!番長ZERO」だけでは足りないとして、ATタイプの好業績機種を見極める条件についても提案した。まずは「平日初日のアウト支持率300%以上(DK-SIS、Market-SIS)」と「平日初日のMY単価750以上(DK-SIS)」をクリアしている機種、もっと精度を上げるなら「2週目平日初日の稼動維持率(アウト維持率)80%以上(DK-SIS、Market-SIS)」をクリアしている機種が好業績機種になる傾向が高いとした(前回のセミナーで平日初日と2週目平日のアウト支持率の基準値を提案したが、より精度の高い基準値に変更)。なお、この好業績機種の条件の確認については、より楽に確認できる同社の商圏分析サービス「Market-SIS」の新台導入後分析レポートによるチェックを推奨している。

 

 

◎4円パチンコの業績を「躍進」させる2大ポイント

4円パチンコの業績を上げるために今すぐできるパチンコ管理として、「アウト支持率を指標とした自店タイプシェアの再構築」「ビッグデータから導いた特定日戦略の極意」の2点について紹介した。

「アウト支持率を指標とした自店タイプシェアの再構築」については、DK-SISのタイプ別月間データ(5月)を示しながら現市場のタイプシェアを説明し、まずハイミドルタイプは、アウトも台粗利も4円パチンコ平均を大きく上回り、台数シェアも4円パチンコ全体の約56%と半分以上を占めているため、4円パチンコの好業績を牽引しているのがわかるした。その一方でライトタイプは、アウトが最も低く、台粗利も4円パチンコ平均を大きく下回っているにもかかわらず、タイプシェアは17.5%と2番目に大きいとしてバランスの悪さを指摘した。人気のないものを減らして人気の高いものを導入するのが業績を上げるセオリーになるため、まずは自店のタイプ構成が適正かどうか確認するよう促した。

4円パチンコのアウトの高低とライトタイプの台数シェアの関係性をみても、アウトが高い店舗ほどライトタイプの台数シェアが小さい。しかし、アウトが高い店舗の括りの中でも3割〜4割強の店舗がライトタイプのアウト支持率80%未満になっているとして、「人気のないライトタイプの台数を減らさずに放置している可能性が高い」と指摘した。また逆に、4円パチンコのアウトが低い店舗の中にはライトタイプのアウト支持率100%以上のところもあり、そうした店舗はライトタイプのシェア増でアウトが上がる可能性があるとした。しかしながら全体として、同じタイプ内の入替でタイプシェアは変えない傾向がみられるため、「ライトタイプのアウト支持率が低ければ、ライトタイプ以外のタイプを導入すべき。同じタイプ内の入替という固定観念を捨て、自店データを確認しながらファンに需要があるタイプに変更することが効果的」と提言した。なお、自店タイプシェアの確認には、チェーン店データをまとめてチェックできる同社のクラウドチェーン店舗管理システム「ClarisLink」の活用を提案。自社店舗の中で本部やエリア長がタイプシェアを変更すべき店舗をみつけた場合は、店長も一緒に方針相談してダブルチェックすることが効果的だとした。

 

◎激戦化するハイミドルタイプを制する機種選定

4円パチンコの業績アップには、全体の半分以上のシェアを占めるハイミドルタイプの機種選定がますます重要になるとして、導入前と導入後の確認ポイントを紹介した。

まず導入前の確認ポイントとして「推測最大MY20,000個以上」「ヘソ賞球2個以下」「特図2継続率80%以上」の3つの基準を紹介し、とりわけ推測最大MY20,000個以上の機種は償却達成率81.3%、未満の機種は37.0%。貢献週も基準値以上16.9週、未満で9.9週、稼動貢献中の累計台粗利も基準値以上893,500円と基準値未満408,100円と大きな差がつくとした。なお、推測最大MYの確認については、すべての登場機種の出玉性能を同一基準で計算しているDK-SISのパチンコスペック表によるチェックを奨めた。

また導入後の確認ポイントは、これまでに提案している「平日初日アウト支持率400%以上」「平日初日の遊技時間8時間30分以上」に加えて「2週目平日初日アウト支持率350%以上」、新たなポイントとして「2週目平日初日の遊技時間7時間以上」で確認すると非常に精度が高くなるとした。2週目平日初日の遊技時間7時間以上をクリアすると、償却達成率は93.8%と導入前の推測最大MYによる判断よりも精度が高くなり、稼動貢献週、累計台粗利ともに大きな業績差がつく傾向があるため、この確認ポイントをぜひ活用してほしいと提案した。さらに、ハイミドルタイプの出玉スピードをみるデータ「T/」(特賞中出玉率)についても、「1種2種タイプのみ 750%以上」1種2種タイプ以外 400%以上」という基準も紹介した。

 

◎ビッグデータから導いた特定日戦略の極意

これまでの特定日戦略は20円パチスロに力を入れる傾向があったが、今だからこそ4円パチンコに力を注げば店舗全体の業績に大きく影響を与えることがビッグデータからみえてきたとして、4円パチンコの特定日戦略について紹介した。

まず特定日日数が与える業績への影響について、月間の特定日日数別(1日程度〜6日以上)の4円パチンコの特定日・通常日別業績データ(2022年2月〜4月)を示しながら説明。特定日が増えると特定日アウトが上がり、相反して通常日アウトが下がるために期間合計アウトに差はみられないとして、基本的に特定日日数の影響は少ないと説明。特定日の日数よりも、特定日にどのような活用をするかが重要で、通常日と特定日で「SP玉粗利差10銭以上」の実施店舗が4円パチンコで業績を上げているとした。

特定日戦略の実施については、パチンコとパチスロの比較がしやすい遊技時間粗利で活用差をみると、4円パチンコは通常日1210円に対して特定日900円と310円の差があるが、20円パチスロは通常日730円に対して特定日180円と550円の差があり、20円パチスロの特定日はかなり甘く、4円パチンコは20円パチスロの5倍以上辛い活用になっているとして、「粗利確保しづらい状況から4円パチンコは甘く活用できないのかもしれないが、4円パチンコでも遊技時間粗利に大きな差がつけば店舗の業績はもっと上がると思う」と指摘した。

さらに4円パチンコの特定日と通常日のSP玉粗利差による業績比較をみると、2022年2月〜4月の業績データではSP玉粗利差が大きいほど期間合計の業績が上がっている一方、昨年同月比の業績データではあまり影響がみられなかった。これは昨年同月期間にまだ5号機が残っていたことに起因するため、今だからこそSP玉粗利を甘くする効果が通常日のアウト上昇につながると説明した。また「SP玉粗利差10銭以上」の実施店舗が昨年は19%しかなかったのが今年は24%に上がっており、「まだまだ少ないが、気がついた店舗はパチンコの集客に力を入れている。今すぐ実施していけば大きな効果があると考えている」とこの特定日戦略の実施を奨めた。

加えて同社の商圏分析データ「Market-SIS」で2022年2月〜4月の特定日と通常日の11時稼動率比較をみると、SP玉粗利差10銭以上と未満では5%近い稼動率の差が出ているため、この特定日戦略を実施することは、特定日の4円パチンコに朝から稼動をつける部分にも効果が見込めるとした。また、顔認証システム「Xai-FACE」のデータでも、特定日に来店したファンの月間の平均来店日数は5.0日となっており、特定日に来店したファンは店舗のファンとみることができる一方、通常日のみ来店したファンは月間の平均来店日数が1.5日しかないため、「まずは通常日に1日のみ来店したファンを特定日に来店してもらう努力をし、SP玉粗利差10銭以上の活用を体感することでパチンコの楽しさを体験してもらえば、1日しか来店していないファンの人数シェアをもっと減らせると思う」と提案した。

加えてSP玉粗利差10銭以上を実現している店舗は、入賞S2回(10分)以上の活用変化を4円パチンコの台数シェア50%以上で実施しているとして、加えて特定日と通常日でアウト差が大きい機種も紹介した。なお、SP玉粗利差10銭以上の実施にあたり、さらに効果的な提案として同社の「DKハイブリッド営業」を紹介。玉積みによる出玉感を視覚的に訴求できるほか、各台計数機の利便性と回遊率アップにつながり、ファン1人あたりの遊技機種数が増えるとした。

このページの内容をコピーすることはできません