2022.6.13

【考察】 パチスロの稼働率を上げるための設置機種の再編

パチンコと比べてパチスロは、朝イチの集客や機種の話題性の訴求に力を入れるとファンが反応しやすいという利点があるが、6号機市場になってからは十分に粗利を確保できる機種がほとんどないため、市場環境が改善されるまではパチスロコーナーのテコ入れに二の足を踏むホールは多い。そうした中でもパチスロに力を入れて何とか集客を維持しているホールはあるが、往々にして粗利をとろうとするとすぐに稼働が落ち、今の機種構成では一旦稼働が落ちるとなかかな元には戻せない。ある程度採算を度外視して踏ん張っているのが現状といえる。

自店の客数を増やそうにも、実際の集客状況はコロナ禍前の8割程度の回復率のまま止まっている。そのため今パチスロに力を入れているホールは、コロナ禍前の集客状況には戻らないと判断し、自店の稼働率を上げようとしている傾向がみられる。その他方では最近、業界各所でパチスロの明るい兆しがアナウンスされるようになった。確かに今のうちからパチスロの稼働率を少しでも上げておけば、底を打ったあとの反転攻勢に向けてアドバンテージが見込める。ただし、今ある材料で稼働率を上げるのはそう簡単なことではない。ある程度の薄利営業を覚悟して入替予算も抑えつつ、比較的長期の稼働が見込める機種の設置比率を上げていくことも重要になってくる。

「今のAT系の機種は、投資しても100枚に満たない枚数で終わる比率が高く、納得できるリターンが得られる頻度も少ないために、やはり旬が早い傾向がある。その点、ある程度まとまった枚数がとれて持ちメダル遊技ができるノーマルタイプやノーマルライクな機種は、AT系に比べるとまだ長期稼動する可能性が見込める。ノーマルタイプの技術介入機にしても、最終的に低い出玉率で収まる機種は短命で終わるケースが多いため、やはりユーザー優位の出玉性能を持った機種の方が稼動実績を残している。打っても負けるというイメージがこのまま定着してしまったらパチスロに未来はない。今残っているユーザーは勝率にこだわる層が多くを占めるため、そこに目を向けることも大事だと思う」とあるパチスロのコンサルタント。ホール側からするとユーザー優位のスペックはなかなか選択しづらいところではあるが、現状では自店客が勝てるイメージを持てる機種を浸透させていくのも重要なポイントだという。

「稼働率を上げるには、機種選定の際に自店客にどういうものを提供したいのかを明確にし、それぞれに役割をもたせてバランスのよい機種構成にすることが大前提になる。稼働実績のある機種を中古機市場から調達するにしても、1月末の入替時に比べると市場が落ちつき、案件数もそれほどあるわけではない。基本的には入替予算を抑えながら、効果的な機種選定につなげるための選択肢を日頃から探しておくことがこれまで以上に必要だと思う」と別のパチスロコンサルタント。入替予算を抑えつつ稼働率を上げる機種構成にするには、とりわけノーマルタイプの機種にはレンタルプランが用意されるケースもみられるため、一定期間に台数を揃える目的ならその利用も役立つとしている。

長期稼動する可能性があるノーマルタイプやノーマルライクな機種は、そもそも市場の登場機種数が少なく、その中には販売台数や導入状況から全国データに出てこない機種もある。やはり稼働実績がわからない機種はどうしても見逃されてしまいがちだが、設置期間が経過した現在も稼動貢献している機種もわずかながらある。そうした機種の中にはレンタルプランが用意される場合もあるため、この先パチスロが底を打ったあとの反転構成に向けて、稼働率が上がる可能性のある機種の動向にはぜひ目を向けておきたい。

稼動実績を残した機種。左から「パチスロ言い訳はさせないわよby激壇蜜」(ボーダー製)、「SLOTマッピー」(メーシー製)

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