2020.12.11

【短期連載第2回】使用済み旧規則機の適正処理の完遂 〜買い手がつきにくい不要台〜

使用済み遊技機の「適正処理」は、日工組広域回収システムの指定業者4社、一般社団法人 遊技機リサイクル協会の指定業者13社、そして遊技機リサイクル推進委員会のガイドラインに即して処理していると認められた処理業者17社の全34社による処理で担保されている。来年の旧規則機完全撤去までに排出される使用済み遊技機は約300万台になる一方、適正処理を担保する処理業者全体の年間処理能力は約120万台弱(このうち日工組広域回収システムの指定業者4社で約102万台)といわれ、年間の処理量でみるとかなりのキャパオーバーなる。通常の年間排出量なら、倉庫保管して段階的に処理する流れによってある程度は凌げるが、やはり処理業者の保管と処理の能力には限界がある。一度に排出が集中した場合にはパンクする可能性も否定できない。使用済み遊技機の適正処理を完遂するには、やはりホール側の計画的な排出が不可欠になってくる。

 

年末年始に大量排出される液晶非搭載の行方

使用済み遊技機が排出されるピークとしては11月の「凱旋」に続いて、年末から1月にかけて「沖ドキ」「ハナビ」「アイムジャグラー系」など液晶非搭載の旧規則機の撤去が挙げられる。もちろん液晶搭載の有無を問わず、経年劣化が激しい使用済み遊技機は回収業者などの買い手がつきにくいが、とりわけ液晶非搭載機は引き取り先の確保が難しい。「年末年始は旧規則機撤去の山場になる。『凱旋』撤去時はタイミングよく取引業者から買取りの話がきて全台処分できたが、今のところ下取りがあるジャグラー以外の処理をどうするか決まっていない」(首都圏の中堅ホール企業)と、現時点では年末年始の液晶非搭載機の処理については「検討中」としているところが多い。なかでも「沖ドキ」「ハナビ」は、日工組広域回収システムとリサイクル協会のシステムに加盟していないメーカー製。下取りや買取りの方向性はメーカーから示されておらず、「凱旋」と同様にホールが排出者として適正処理していくことになりそうだ。

 

液晶非搭載機の下取りプランに高評価

そうしたなか、1月に撤去を迎える旧規則機のジャグラー系2機種については、6号機「アイムジャグラー」の納品時に下取りするプランが明示されている。なかなか買い手がつきにくい液晶非搭載機の下取りに対し、「年末年始の撤去台をどうするか検討している段階で排出処理を考えなくて済むのは、部分的であっても助かる」(九州の中堅ホール企業)、「液晶を搭載していない撤去台はある程度の費用負担を覚悟していたが、下取りをしてくれるのはありがたい」(首都圏の中小ホール企業)と評価する声も少なくない。今回のジャグラー系の下取りのようにホールの計画的な排出を支援するメーカーがある一方、他メーカーの下取りプランのなかには、提示された下取り対象機種がホールの計画的な排出にそぐわないものもあるようだ。下取りに伴ってメーカーが負担する処理費は台数規模によって膨らむため、いわばその回避策としてホールの想定機種以外が下取り対象になるわけだが、今回のジャグラー系の下取り対象は台数規模が大きく、さらにはホールが引き取り先を悩ませている液晶非搭載機。こうした点でもメーカーの姿勢が評価されている。

 

適正処理に向けたメーカー対応の温度差

年末年始に排出される液晶非搭載機をすべて処理する明確な道筋について、まだほとんどのホールでは見えていない状況だが、「ほんのわずかな額になるが取引先の回収業者に買取りしてもらう予定。倉庫に一時保管ができなくなることだけは避けたい」(関東の中小ホール企業)、「処理費の負担がないように取引先と話を進めている。小規模店舗など業者との取引が少ないところは最悪の場合、引き取りを断られる可能性もあるという話も聞く」(首都圏の中堅ホール企業)と今のうちから計画的に処理を進めているところもある。やはり検討段階にあるホールのなかには「パチスロは特に新台が少ない状況なので、ジャグラーのような下取りは難しいと思うが、買取りも含めて他メーカーでも検討してほしい」という意見も聞かれ、メーカーの協力体制を待ち望んでいる様子が伺える。また、日工組広域回収システムとリサイクル協会のシステムに全メーカーが入っていれば、ホールからの排出も計画的に進み、使用済み遊技機の処理問題は間違いなく大きな前進をみるに違いない。こうした温度差を解消することも「適正処理」の完遂に向けた一つの課題といえる。

 

backnumber【短期連載第1回】使用済み旧規則機の適正処理の遂行 〜撤去後の「凱旋」のいま〜

 

 

このページの内容をコピーすることはできません