「脱・業界等価」が進む背景と それでも踏み切れない阻害要因(遊技通信2015年10月号)

遊技機環境の変化で待ったなしも、共通課題と各県事情の折り合いがテーマに
 
今回の都遊協の「脱・業界等価」の決議は、一般入賞口への入賞率問題が契機となり、かねてから課題とされていた逆ザヤの解消に一気に進んだものだが、その根底には、業界等価営業によるファン離れという深刻な課題がある。一方、賞品流通の仕組みは各県ごとの事情が大きく左右しているテーマであることは周知の通りだ。全国共通の課題と、地域事情との狭間にあって、この改革に着手できないエリアは少なくないようだが、業界等価撤廃エリアからは、「できるだけ早く実施した方がいい」という声が寄せられている。
 

業界等価撤廃エリアからは相次ぐ「やって良かった」の声

この11月から、都内ホールにおける「業界等価」営業が一掃された。当初は、大所帯である東京が本当に業界等価の撤廃をできるのかを疑問視する声もあったが、関係者によると都遊協の理事会決議に沿わない別行動を採ったのは2法人10数店舗。ひとつは都遊協方式とは違う金地金賞品を採用しているグループで、もう1社は都遊協が示した金賞品の供給価格の下限値で折り合いがつかなったからだといわれている。ただし、いずれも、以前から業界等価営業は行っていなかったので、「脱・業界等価」という面では全都的対応になった。
 
業界等価は、少なからずの業界関係者が、業としての疲弊要因と指摘していたが、その是正は競合店舗が歩調を揃えない限り、難しいとされていたのは周知の通りだ。その是正好機となったのが平成26年4月の消費税率の引き上げで、この時、複数エリアでかつてのように賞品仕入額との差益を見込んだ営業方法へのシフトチェンジが行われている。そして、その消費税率の引き上げ前にすでに業界等価が一掃されたのが大阪だ。
 
今から4年前、全国に先駆けていち早く業界等価を撤廃した大阪のあるホール関係者は、「当時は行政当局の強力な指導のもとで業界等価を撤廃させられたため、営業上の不安感もあったが、射幸性を落としてパチンコ参加人口を増やそうという命題を突きつけられている今になってみると、これを撤廃して良かったと思う」と振り返る。大阪では、業界等価の仕組みは一般的な商行為のような利益発生構造がないことから、買取所の第三者性と独立性の問題が指摘され、半ば強制的にメスが入れられた格好だったが、結果、営業上の負担軽減が図られたこともあって「今はアドバンテージを狙って元に戻す大手ホールもいない」という。
 
消費税率のアップ時に業界等価を撤廃した別のエリアのホール関係者も、この効果を認める。「県外大手が組合に交換個数の見直しを打診してきたところから、業界等価撤廃の話が始まった。もともと組合規制の三点セット(台数・交換率・定休日)を壊したのは大手だから、今になってそれを言い出すのはおかしいと感情的にもなったが、結果的には業界等価に比べるとホールに負担がかからない営業方法という理解が県下全域に広がっている。今振り返ってみると、ホールにとって間違いなく良策だった」。
 
さらに別の県のホール関係者も「昨年の4月からスタートしたが、県遊協の執行部に複数の地元大手ホールが入っているのが大きかった。大手同士が『あそこが守るのなら』という姿勢だったので調整はスムーズだった。地理上、左右が業界等価の県に挟まれているが、組合員からの不満は聞こえてこない」。
 
傘下ホールの全てが歩調を揃えるかどうかの差が明暗を大きく分ける施策だけに、申し合わせに至るまでには各地域でそれぞれ紆余曲折を経ているが、実施後は好感触の声が多い。
 
是正機運はあっても各県事情で難航するエリアも
 
こうした成功事例が聞こえてくる一方で、交換個数の変更の申し合わせに難航しているケースもある。関東エリアのあるホール経営者は、「複数の県外大手が組合に打診したが、地元の大手ホールが反対している状態。系列店でも組合加入している店舗としていない店舗があるので、足並みが揃いづらい」。
 
消費税増税時の対応でも、同様の声が少なからず聞こえてきていたが、損益分岐割数の設定は、集客に関わる大きな営業的要素という業界環境が長く続いたせいだろう。規模の大小を問わず、現在の営業スタイルで好調な成績を残している店舗ほど、現状を変えることにためらいがあるのは、仕方のないことかもしれない。
 
ある組合関係者は、こうした各組合員同士の思惑が異なるのは全国展開しているホールではなく、むしろ地元の大手法人に多いと指摘する。「県外大手と渡り合って、これを打ち負かすノウハウを確立しているところは、当然、そう考えるだろう。見直しをする上で、最も神経を使うのが地元大手ホールへの説得」だという。
 
また、一度は実施したものの、その後、形骸化した地域もある。当初は申し合わせに賛同したが、新規ホールが業界等価で参入したのを機に、既存店舗がこれを追随、なし崩し的に元に戻った県もある。一度は見直しに賛同したものの、差別化のためにもう一度業界等価に戻すといった、「足抜け」する店舗が出たことによって、結果的に足並みが乱れたエリアもある。
 
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「大方のホールが業界等価は止めたいのだが、その話し合いが感情論になって先に進まない」
 

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