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- 【期間限定公開】人材確保はますます難しくなる傾向 採用強者は資金力以外に何が違うのか
皆様にとって、2024年はどんな年だったでしょうか。今回は、採用に関することをメインに様々なことを振り返ってみたいと思います。
まず社会的な話ですが、お金にまつわる話が多かった年だったのではないでしょうか。マイナス金利政策の解除、物価高、過去最高となった最低賃金のアップ、103万円の壁などです。2024年問題や人手不足倒産といった、雇用や採用に関わるトピックもありました。
パチンコ業界はというと、前述の最低賃金の話に絡んで、“高待遇とは言えない時代に突入した年”と言っていいかもしれません。現在の全国平均を比べてみると、最低賃金は1055円、ホールアルバイトは当社調べで1193円です。その差はほとんどなくなりました。
待遇面でアドバンテージがなくなってきていますから、採用も以前より難しいものに。加えて、誤解を受けやすい業界であることは以前から変わらず、悪いイメージを持っている人は珍しくありません。
パチンコ業界で働く意思のある方でも、今やそれ一本で職を探すのではなく、他業界を視野に入れて求職活動するのが当たり前。人材の奪い合いは激しさを増すばかり、という2024年でした。
求職者と企業のパイプ役は 業界で働く決断をアシスト
相変わらず売り手市場だったこともあり、私たちも人材獲得競争の激化を痛感。相談者の大半が複数の転職エージェントを併用していますが、選考企業の業種はバラエティに富み、個々の希望に沿った求人が提示されています。マッチングする業種の幅が広がったことで、パチンコホールは選択肢の一つという位置づけに。
となると、ホール企業で働く動機付けが必要ですから、希望を聞くだけでなくモチベーションが上がるような働きかけも必要。さらに、面接のセッティングをした後で“面接前面談”をし、面接が終わった後は“面接後面談”を行います。面接でこういうことを聞かれて嫌な気分になったとか、具体的にどう受け答えすれば正解だったのかなど、細かくヒアリングしつつアドバイス出来るところはしますし、求職者の反応などを求人企業へ情報共有する頻度も増えました。
例えば、求人企業で“働く姿を強くイメージさせる”ために、過去の入社人材の活躍例、キャリアパス、就業環境など、転職者にとって魅力に感じる要素を、面接前と面接後で受けた印象を踏まえて、さらに腹落ちさせるような取り組みを実施。ようは、“個社”を見て判断・選択出来るようモチベートするわけで、あらゆる産業が不安定な状態にある現代だからこそミクロ視点で深く考えられるようにサポートすることが、結果として“業界で歩む決断”につながるのです。
採用強者が強者たるゆえんは 給与制度だけではない
ホール業界の二極化は今に始まったことではありませんが、2024年は採用強者と弱者の違いがさらに広がった印象があります。厚生労働省の調査によると、2024年の賃上げ率は民間主要企業が5.33%で、5%台を記録したのは1991年以来、33年ぶりのようです。
ホール業界においても、世の中の流れ、他業界との人材争奪戦を想定して、給与制度の大幅な見直しや条件提示を人材ベースで柔軟に対応するなど、採用難に備えた取り組みを積極的に行う企業もありました。これを行っていない企業との選考希望者数の差は歴然ですが、同時に、選考手法やスケジュール調整、受入体制なども創意工夫しており、“採用力”の差も明らかです。
つまるところ、人材・採用に対して「どれだけリソースを確保するか」「どれだけ投資するか」という経営方針や計画に行き着きます。店舗内外における業務の効率化や省人化のシステムが構築されるなかで、それをもって「人手不足が緩和された」として現状維持に留まらず、「システムで補えないクリエイティブなことや付加価値創造にマンパワーを注ぎ込む」「組織に健全な競争環境を整える」など、成長発展を目指す企業はこれまで以上に人材採用に注力し、スピード感をもって変化に対応していたように感じます。
「店内の活気も、働いている人の元気もない」や「そもそも店内でスタッフをあまり見かけない」といった理由による選考辞退は、その環境の印象などから、企業の「現状」や「将来」を想像した結果でもあって、特に若い世代ほど敏感な傾向。“現場力”が“採用力”につながってくると言えそうです。
ポイントになるのは、パチンコが好き、パチンコ業界の経験を活かしたいといった業界に関連付けがしやすい特性がある人材。採用強者の企業は、市場全体から人を集めようとしているのではなく、関連する特性をどのように発揮していくかを個別に提案し、自社で働く動機形成を図っているのです。
人材獲得競争はさらに激化 ぜひ採用力の強化を
2025年も物価高への配慮、人材確保を理由に、さらなる賃上げが予想されます。より良い待遇や環境を求める動きなど、人材の流動化によって雇用もますます活性化するでしょうから、人材獲得競争はさらに激化しそうです。
となると、競争に負けないよう「採用力を強化することが必須」と言えるかもしれません。別の言い方をすれば、“資金力で戦う”以外の手法が、より重要となってくるはずです。現場、募集方法、面接での惹きつけ方などをトータルで見直し、現状に満足せずに前進することが結果につながるのではないでしょうか。
「精出せば 凍る間もなし 水車」。2025年も皆様のお役に立てるよう切磋琢磨しますので、よろしくお願いいたします。
筆者紹介:嶌田堅一(しまだ・けんいち)
キャリアコンサルティンググループ
マネージャー
大学卒業後、㈱パック・エックスに入社。人材紹介事業を10年以上経験、国家資格キャリアコンサルタントを取得。これまで2,000人以上の支援を行っている経験・実績豊富なアドバイザー。
※これまで掲載された「現場視点からみる業界の『人材課題』」のアーカイブをはじめ、マークが付いている「プレミアム記事(有料プラン)」は、https://www.yugitsushin.jp/category/premium/から閲覧できます。
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