2022.11.28

人間ドラッカー超入門⑨  経営コンサルタントの父ドラッカー

今回は、ピーター・ドラッカーが「会社という概念」(邦題は「企業とは何か」)の出版を契機に多くの大企業から組織改革の仕事の依頼を受け、その経験を基に「経営コンサルタント」という仕事を確立させるとともに、マネジメントの発明と言われる「現代の経営」の執筆に着手するまでの数年間を取り上げることにする。

「会社という概念」の内容についてはGM側から徹頭徹尾無視されたが、同社とのコンサルティング契約は続いていた。少数ながらドラッカーの考え方に共感する経営幹部が存在したからである。そして、間もなくして、その数少ないドラッカー理解者の一人が、スローン会長に代わってCEO(最高経営責任者)のポストを引き継いだ。組合出身のチャールズ・ウィルソンその人である。GMの調査を通じてドラッカーが得た結論の中で、ドラッカー自身が最も自信を持った結論は「責任ある労働者による自治的な工場共同体の創出」だったが、この結論を受け入れてくれたのがウィルソンだった。ウィルソンは、1947年、アメリカ産業史上初となる大規模な従業員意識調査をGMで実施した。「私の仕事と私がそれを気に入っている理由」と題した作文コンテストの形式をとっての意識調査で、従業員が仕事に何を求めているのかを知ることが目的だ。従業員の6割以上の30万人の応募があり、ドラッカーも審査委員として関わった。

続きを読むには有料会員
会員登録が必要です。

RELATED ARTICLE 関連記事

このページの内容をコピーすることはできません