2024.8.30

競争優位性を実現するファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略 (3)

業績アップで実績の高いファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略の第3回となります。
その概要は、先の(1)と(2)に掲載しているので、ご参考下さい。

その5つのポイントとなる経営資源は、
(1)価格、(2)サービス、(3)アクセス、(4)経験価値、(5)商品です。

前回は(1)価格について、業界での対応を解説しましたが、
今回は(2)の「サービス」について解説します。

「サービス」とは、大きく分けて、
・機能としてのサービス(最も広義な意味)
  → 価値創造的な機能や活動そのもの
・商品としてのサービス(対価を伴うもの)
  → 価値創造的な活動そのものが市場で売買される場合、その活動そのもの
に定義出来ます。

無料でも有料でも、相手にとって何らかの価値を提供することが、「サービス」ということが出来ます。

その「サービス」には、特徴があり、その特徴への対応策は下記となります。
(特徴 → 対応策 ⇒PS店への対策例)
(1)無形性 → 可視化
 ⇒ 遊技説明、操作方法など可視化
(2)生産と消費の同時性(不可分性) → 同時性の価値増
 ⇒ 遊技中の便益提供増
(3)結果と過程の等価的重要性 → 結果と過程の提供価値増
 ⇒ 結果価値(勝ち負け)及び過程価値(居心地)増
(4)客との共同生産 → 互いの満足度増
 ⇒ 顧客も価値の一部を担っている(客層)             
(5)均一性 → 品質管理等マニュアル化
 ⇒ 接客応対など各種マニュアル
(6)需要の変動制 → 需要の均一化(価格、付帯、セルフ、稼働)
 ⇒ 閑散時間付加サービス展開、定量制など
(7)労働集客性 → 自動化
 ⇒ 個台計数島、自動払い出し機、無人カウンター
(8)口コミの影響大 → 経験者満足度増
 ⇒ ネット対応、アドケイト(推奨者)増

つまり、サービスとは、形が無く非均一で、在庫も出来ず、その価値を決めるのは、顧客であるのです。

したがって、顧客の志向によって提供価値が変化するため、非常にやっかいな反面、差別化要因価値となり得ます。

そして、上記(1)~(8)の項目を踏まえ、
顧客に「刺激や感動」を与えるサービス提供領域であればレベルⅢ、
顧客に「頼りになる」と思わせるサービス提供領域であればレベルⅡ、
顧客に「信用はできる」と最低限の納得感を提供できているのであればレベルⅠ、
そして、顧客が納得できない低品質のサービスを提供しているのであればアウトです。

最低レベルⅠ以上でなければ経営資源にはなりません。
やはり、感動の領域を提供できると大きな強みの形成が可能になります。

上記の要素の中で特に(3)が重要となるため、
結果価値提供に関するマシーン・ペレーション能力(品質)と
過程品質に関わるストア・オペレーション能力(品質)は、
極めて重要な無形の経営資源となります。
(いわゆるケイパビリティ:組織内潜在無形資源)

そして、全体を通しての概要としては、この「サービス」に関して、
市場を制覇しているのであればレベルⅢ、
差別化が出来ているのであればレベルⅡ、
業界の水準に達しているのであればレベルⅠ、
それ以下は、顧客から信頼されていない範疇に該当します。

今一度、自店の検証と改善にお役立て下さい。

今回以上です。

筆者紹介:田守順(たもり じゅん)
1959年5月3日、北海道帯広市生まれ。アミュゼクスアライアンス代表世話人。中小企業診断士。
明治大学商学部卒、多摩大学大学院経営情報研究科修了(MBA取得)。30歳の時、
父親の経営する企業に入社。経営者として3店舗だったホールを10年間で9店舗に拡大(2003年5月終了)。
1999年度日本青年会議所副会頭に就任。2014年から高崎経済大学の大教室で「ベンチャービジネス論」
「イノベーション論」を、2019年から明治大学経営学部の大教室で「サービス業の運営管理」の講義を行っている。

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