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パチンコ業界でも最近話題になりつつある「インバウンド」。遊技人口の減少が進む中、外国人観光客へのアプローチが次第に注目されるようになった。「インバウンド」という言葉がまだ広まりきっていなかった2014年の遊技人口は「レジャー白書2015」によれば、約1150万人だった。この時期に環境を整えていれば、今頃はどうなっていたのだろうか。過去の取り組みや現在できることを振り返りながら、これから進むべき方向を探っていきたい。

日常的に見かける光景となるのか
本誌ではこれまで、パチンコ業界が「インバウンド」の分岐点を迎えるたびに特集記事を掲載してきた。今回は、そのアーカイブから2014年1月号の記事の一部を紹介する(名称などは当時のまま)。
東京五輪の招致活動が進む中、全国的に外国人観光客の誘致が活発化し、アミューズメント業界でも外国人向け施策が具体化していた。しかし、業界内では「海外からの観光客を増やすより、減少する国内ファンの維持が優先」との慎重な意見も根強かった。
こうした状況を受け、全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)は2013年12月、外国人観光客誘致のための研究会を発足。パチンコホールへの集客策を検討することとなった。一部ホールではすでに外国人向けの取り組みを進めており、専門委員会ではその具体例も紹介された。
しかし、ホール経営者の間では「外国人観光客の増加は歓迎だが、それ以上に国内ファンの減少が深刻」との意見が多かった。特に地方では、人口減少や高齢化により客離れが進み、「外国人誘致よりも既存ファンをどうつなぎ止めるかが最優先」との声もあった。また、パチンコという日本独自の遊技が外国人に受け入れられるかについても懐疑的な見方があった。
一方、外国人誘致を新たなビジネスチャンスと捉える動きもあり、東京・秋葉原では「パチンコ&パチスロ体験イベント」が開催され、訪日観光客向けに日本文化としてのパチンコをPR。主催するパチンコ企業である(株)ジャパンニューアルファ(JNA)は、多言語対応を進め、外国人向けの受け入れ体制を強化していた。また、遊技機メーカーの(株)平和が運営する『パチンコナビ』でも、英語や中国語での情報発信を強化し、新規顧客獲得を目指していた。
業界全体として、日本人客の減少と外国人誘致のバランスが課題となっていた。外国人誘致は重要な施策だが、それだけに頼るのではなく、まずは国内ファンを維持し、業界全体の魅力を高めることが求められていた。
記事掲載から10年以上が経過した2025年。既存のファンが減少し、さらに訪日客の新規取り込みが進まなければ、業界のさらなる縮小は避けられない。パチンコ業界もようやくその重要性に気づき始めたが、本格的な動きにはまだ至っていない。最近では業界に特化したエキスパートも登場しているが、言葉の壁が課題とされる一方で、実際の問題はそれだけではないようだ。今こそ、業界の存続を見据えた「インバウンド」の可能性を改めて考え直すべきではないだろうか。
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