2019.4.19

政府がギャンブル等依存症対策推進基本計画を閣議決定

政府は4月19日、ギャンブル等依存症対策を推進する上での基本計画の閣議決定を行った。基本計画案に対しては、3月7日から26日まで行ったパブリックコメントで913者が意見を提出したほか、ギャンブル等依存症の当事者や関係事業者、有識者らで構成した関係者会議で意見交換を行うなどしていた。
 
閣議決定された基本計画では、パチンコ業界が取り組むべき課題について、関係者会議で出た意見を一部反映。普及啓発の推進でSNSなどを効果的に活用することが追加されたが、案の時点からの大きな変更はなかった。「ぱちんこ営業所のATM等の撤去」については、パブコメなどで出た意見を元に、ATM等の設置が民間事業者間の契約関係に基づき行われているという現状を認めたものの、「ぱちんこ営業所のATM等の撤去等」として、最後に「等」の文字を追加するに留めた。「ATM等の撤去」だけではない依存防止対策につながる業界の取組みを想定したという。
 
また、「出玉規制を強化した遊技機の普及、出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発・導入」では、改正後の規則に適合する遊技機への入替えは個々の営業所の取組みだけ達成されるものではないことを踏まえ、「各ぱちんこ営業所において、改正規則の経過措置が終了する平成33年春までに、出玉規制が強化され射幸性が抑制された改正後の規則に適合する遊技機に全て入れ替える。」を、「各ぱちんこ営業所において改正規則の経過措置が終了する平成33年春までに出玉規制が強化され射幸性が抑制された改正後の規則に適合する遊技機に全て入れ替えることに万全を尽くす。」に書き改めた。
 
内閣官房のギャンブル等依存症対策推進本部事務局では、今回のパブリックコメントで多岐に渡った内容を42項目に分類、整理。それぞれの項目に対する考え方をまとめた。ここでは、パチンコ業界の各種の取組みがすでに推進されていることを受けて、過剰な規制に反対する意見が各項目で多数寄せられたが、基本計画には反映されなかった。
 
【基本計画で示されたぱちんこにおける取組み】
●第1 ぱちんこにおける広告・宣伝の在り方
 1 全国的な指針の策定による広告・宣伝の抑制
 2 普及啓発の推進
●第2 ぱちんこにおけるアクセス制限
 1 自己申告プログラムの周知徹底、本人同意のない家族申告による入店制限の導入等
 2 入店した客に対する身分証明書による年齢確認の実施
●第3 ぱちんこにおける施設内の取組
 1 ぱちんこ営業所のATM等の撤去等
 2 出玉規制を強化した遊技機の普及、出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発・導入
●第4 ぱちんこにおける相談・治療につなげる取組
 1 自助グループをはじめとする民間団体等に対する経済的支援
 2 ぱちんこへの依存問題に詳しい専門医等の紹介
 3 リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の相談体制の強化及び機能拡充のための支援
●第5 ぱちんこにおける依存症対策の体制整備
 1 「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」による依存防止対策の強化
 2 ぱちんこへの依存防止対策に係る実施規程の制定
 3 業界の取組について評価・提言を行う第三者機関の設置
 4 第三者機関(一般社団法人遊技産業健全化推進機構)による依存防止対策の立入検査
 5 ぱちんこ営業所の管理者の業務に関する運用状況の確認とその改善

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