2020.2.1

【インタビュー】サンセイアールアンドディ・原点回帰の牙狼でシェア獲得に挑む

サンセイアールアンドディは昨年12月、開発部門と営業部門を統括する幹部2人を、常務取締役に昇格する人事異動を行った。これまでを超える「クリア・サンセイ」を旗印として掲げ、内外に意気込みを示す同社。新規則機市場への移行が本格化する今年を、勝負の年と位置付けている。2人の新常務が描いている今後のビジョンを聞いた。(文中・敬称略)

山本和弘常務取締役・開発製造本部長

−−今のパチンコ市場をどのように認識していますか。
長谷川 年を追うごとに厳しさが増してきている印象です。我々はメーカーですので、とりわけ、新台に対するレスポンスの低下を実感しています。

−−どのような時に、新台に対する関心が落ち込んでいると感じられますか。
長谷川 販売という視点で言えば、早く新台を見たいという声や、機械に対する様々な要望が少なくなってきていることが挙げられます。弊社では牙狼というタイトルがありますが、それでやっと、需要を引き出す土俵にのることができているという状態です。

−−そのような厳しい状況下で、遊技機開発を進めるにあたって、目下最大の課題は何だと考えていますか。
山本 結論としては、やはり牙狼シリーズで結果を出すことが、最も優先すべき事項だと考えています。ファン人口が減少している要因の一つには、新台で十分な稼動貢献が出来ていないことがあると思いますし、今の市場は、主要なシリーズ機に興味が持たれているのが現状です。弊社としては、この状況を踏まえ、看板タイトルである牙狼を伸ばしつつ、新たなタイトルも育成していきたいと考えています。
長谷川 新台設置後は、稼動という形で、結果がすぐに出る業態です。そして、結果を出すことで、次機種にも注目してもらうことができます。

−−牙狼シリーズといえば、御社では昨年、Aタイプを標榜した「P牙狼コレクション」をリリースしました。ヘソの間隔が斬新な仕様でした。
長谷川 この発想自体は、左打ちと右打ちで仕様が変化する弊社の「CR彼岸島」が元になっています。ただその時は、我々の考えていることを皆さまに伝えきることができませんでした。そのため、コンテンツに牙狼を用いることで、少しでも多くの人に関心を持ってもらえることができるのではないかと考えました。

長谷川和馬常務取締役・営業本部長

−−結果についてはどう受け止めていますか。
長谷川 一定の認知は得られたと考えています。その事は、このほど発表した弊社の新機種「P笑点」に対する今の感触にも表れてきています。

−−新規則への対応状況はいかがですか。
山本 現時点では、一回の大当り出玉が目に見えて減った点と、市場で旧規則機と共存状態にある点が、新規則機に対してマイナスの影響を生じさせていると思います。また、保通協での適合が難しくなっています。そもそも、今は型式試験の予約を取ること自体が難しい状況になっています。

−−ホールは新規則機のアウト効率の低下に不安を抱いています。
山本 アウト効率が低いタイトルでもヒットした前例がありますし、一概に低いことが悪いとは思いません。しかし、アウト効率は売上にも繋がっていきますので、開発者としては、アウト効率の向上は目指すべきだと考えています。

−−業況低迷からの打開策はどこにあると考えていますか。
長谷川 メーカーとしては、多くの人に支持してもらうタイトルを発売することに尽きると思います。あえて大風呂敷を広げさせてもらえるのであれば、業界全体にムーブメントを生じさせる可能性を、探り続けていくことが重要だと考えています。

−−ゲーム性に対する今後の方向性をどう捉えていますか。
山本 新規則機は、一回の大当り出玉が抑制された分、ゲーム性がどうしても継続率に偏ってしまいがちなのが現状です。それはそれで一つの魅力になっていますが、我々は、これに変わるようなゲーム性の準備も進めております。新たな牙狼シリーズでは、ホール営業の定番機になるような分かりやすい仕様を目指しています。もちろん、今の規則に沿う必要はありますが、多くの人が牙狼に抱いているイメージを表現する機械の実現に力を注いでいます。

−−今年は、新規則機への移行が本格化していきます。
長谷川 今年はメーカーとして、重要な年になることを見据え、組織体制を新たに整備しました。我々が、常務を拝命したのもその一環で、会社としての意気込みを示す人事だと感じています。現時点では、東京オリンピック・パラリンピック開催等に伴う、入替自粛の日程が確定していないので、臨機応変になりますが、年間10本ほどのタイトルは揃える計画です。もちろん牙狼の最新作も含まれていますし、時期的には、前後のバランスも踏まえて、最も喜んでいただける時にリリースしていければと考えています。原点回帰した「これぞ牙狼」というような、機械に期待してもらいたいです。

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