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- 【期間限定公開】20代若手社員のやりがいと 環境変化への対応が課題
幕末の英雄、高杉晋作の辞世の句といえば「おもしろき こともなき世を おもしろく」です。“世を”ではなく“世に”という説もあるのですが、直筆の歌が残されていないため、どちらが正しいかは不明。
解釈も、「世の中をつまらないと感じるか面白いと感じるかは、自分の気持ち次第だ」や「世の中は面白くないが、面白く生きよう」、さらに「世の中は面白くないから、自分が面白くしてみせよう」など複数あります。微妙にニュアンスは違うものの、すべてポジティブなものです。
なぜこんなことを言うのかというと、若者の転職動機を想起させるから。詳細をお伝えし、企業の対応策も考えてみたいと思います。
「つまらない」の背景には 曖昧なキャリア観がある
20代の若手、言わばホール現場主力層の転職相談において、最近よく聞く退職理由が「やりがいが見出せない」や「つまらない」。そのたびに、彼らの言葉の奥底に何があるのかを引き出そうと時間をかけてコミュニケーションを取っています。
避けたいのは、「目の前に映っていること」に捉われてしまい、仮に転職したとしても同じような理由から退職や転職を繰り返すことです。特に、他業種の選択肢が増えている昨今の転職市場は流動性が高く、以前よりも転職しやすい反面、ミスマッチのリスクも増えています。キャリアアップやスキルアップ、キャリアチェンジを求める姿勢はポジティブではありますが、動機が曖昧すぎるケースが目立つのです。
後悔しない選択とするために、「やりたいこと」と「やれること」を明確にしたうえで、「どのようなチャレンジ」を「どのようなステップ」で歩んでいきたいのか、彼ら自身の意思で将来を“自分事”として捉え、目標設定が出来るよう導くことをポイントとしています。
現場効率化が進む今 必要なのは能動的な接客
あるホール企業の人事役員の方とお会いしたとき、私が転職相談の場で感じていることと同様の傾向を話してくれました。「近年入社してくる若いスタッフはやりたいことを主張はするが、それを実現させるための地味な努力は敬遠しがち」と。
やりたいことを実現させるためには、知識やスキルを身に付ける必要があり、やりたいこととは異なる経験を積むのが遠回りのようで近道ということがよくあります。しかし、その階段を踏まずにたどり着こうと、転職を選んでしまうのです。
本人としてはキャリアアップやキャリアチェンジといった動機であり、それが近道だと信じて疑いません。「やりがいが見出せない」「つまらなくなってきた」という動機背景の場合、職場環境などの外的要因よりも自身のキャリアといった内的要因そのものに行き着くことがほとんどですが、実は、近年のホール現場環境の変化が少なからず影響を与えています。
前回の連載第42回で触れましたが、近年のホール現場は、ハード機器の進化と普及によってユーザーが呼び出しボタンを押す頻度が減りました。スタッフの作業負担も減り、重労働という印象は薄れてきているはずです。実際に、転職相談の場で「腰を壊して続けられない」や「身体的にきつく、年を取ったら体がついていかないのでは」といった理由はほとんど聞かなくなりました。
環境整備が進みホール現場の作業が効率化されるということは、オペレーションだけでなく“職能要件”も変化するということです。これに対し、意識高く工夫して取り組める人とそうでない人とでは、当然ながら「やりがい」や「楽しさ」に大きな差が生じるでしょう。
特に、コロナ以前に入社した20代中頃から後半組は、どちらかというと受動的な接客機会が多い環境で育っています。現代のオペレーションでは能動的なアクションが求められるため、うまく切り替えられないことが根底にあるのかもしれません。
職能要件の再定義と 戦略的な教育シフトが重要
さて、彼らが「やりがいが見出せない」と発する真の理由は、現場の効率化により、従来の受動的な接客スキルだけでは職能要件を満たせなくなったことに端を発し、その新しい要件に見合う能動的な経験や努力を理解出来ていない、もしくは企業側が明確に提示していないことにあります。特に後者の場合、企業側は「何をすれば評価されるのか」という羅針盤を再設定し、提示する必要があるでしょう。
例えば、「現場リーダーとしてのマネジメント能力」「データに基づいた提案力」「顧客の潜在ニーズを引き出すコミュニケーション力」といった、より高度なヒューマンスキルを明文化して浸透させるのです。
続いて必要となるのは、この新しい職能要件に基づいた、若手社員への戦略的な教育シフトでしょう。特に、受動的な接客環境で育った中堅層には、能動的な行動変容を促すための研修やOJTが有効となります。例えば、単なる「巡回」ではなく、「顧客の滞留時間と表情の変化から、次のニーズを予測する」といった具体的なミッションを与え、その達成度を評価に直結させるのです。
“やりがい”という曖昧なものを個人の努力に委ねるのではなく、企業が現場の変化を認め、「何にどう取り組めば成長し、次のステージに進めるのか」という具体的な面白さの道筋をデザインすることが、20代若手の流出を防ぎ、定着と戦力化を実現するカギとなるのではないでしょうか。
ちなみに、高杉晋作が他界したのは27歳のとき。現代に生きていたなら、同世代の若者を見て、何を思うのでしょうか。

筆者紹介:嶌田堅一(しまだ・けんいち)
キャリアコンサルティンググループ
マネージャー
大学卒業後、㈱パック・エックスに入社。人材紹介事業を10年以上経験、国家資格キャリアコンサルタントを取得。これまで2,000人以上の支援を行っている経験・実績豊富なアドバイザー。
※これまで掲載された「現場視点からみる業界の『人材課題』」のアーカイブをはじめ、マークが付いている「プレミアム記事(有料プラン)」は、https://www.yugitsushin.jp/category/premium/から閲覧できます。
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