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Q 弊社では勤怠システムと絡めてタイムカードを活用しています。タイムカードの時間を労働時間とすべきなのでしょうか?そうするといろいろな問題が生じてきそうで心配です。
A 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。」とされています。
結論としてはタイムカードによる労働時間算定は絶対ではありません。おっしゃる通りタイムカードの運用は押し間違いもあれば打ち忘れもあります。また打刻システムが一台しかない場合は順番により打刻時間が変わるなどの実態もあります。タイムカードの記録=労働時間という運用は様々な問題が生じる可能性があります。
必ずしもタイムカードの記録=労働時間ではないことは、「ガイドラインについて」の通達で、「タイムカード、ICカードなどの客観的な記録をその根拠とすること、又は根拠の一部とすべきであること」としていることからも明らかです。
前述のガイドラインによると、使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によることとされています。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
Q 法定労度時間は1週間に40時間、1日8時間となっていると聞きました。ということは、少なくても1週間40時間、1日8時間は働かなければならないという意味なのでしょうか?
A 確かに法定というとそれが義務のように感じるかもしれませんが違います。「法定労働時間」はこれを超えて労働さえてはならないという「禁止義務」を会社に課す時間のことです。法定労働時間の範囲内で「〇〇時間働かなければならない」時間のことを「所定労働時間」といいます。
Q 勤怠管理としての労働時間は始業から終業時刻までの時間を指しますでしょうか?
A ほぼ合っています。正確には始業から終業までの時間帯は、休憩時間を除き、すべて労働時間と考えます。つまり会社の指揮命令下におかれる始業の時刻から終業の時刻に指揮命令から解放される時間を一般的には拘束時間と表現します。拘束時間から休憩時間を差し引いたすべての時間が労働時間となり、社員には職務専念義務があります。一方で会社側には法定労働時間を超えて労働させてはならない義務があります。この2つの異なる立場を繋ぐのが労働時間管理といえます。
Q 労働時間管理というと単純に何時間働いたのかを管理するだけではないのですね。具体的にはどんな管理をした方がよいのでしょうか?
A 例えば所定労働時間の管理では、社員が就業時間内に職務専念義務を果たしているかどうかをチェックする、法定労働時間の管理では無申告の時間外労働がないかどうかをチェックするなどが考えられます。
Q 労働時間を自己申告制にしてもよいのでしょうか?
A 前述のガイドラインで使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によることとされています。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
「自ら現認する」とは、使用者自ら、あるいは労働時間管理を行う者が、直接始業時刻や終業時刻を確認することです。
なお、確認した始業時刻や終業時刻については、該当労働者からも確認することが望ましいものです。したがって自己申告制は例外的措置とされており、やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合、自己申告と客観的な記録との突合や過少申告がないかどうかの確認、ガイドラインの説明義務などが課されているのでご注意ください。
筆者紹介:佐藤拓哉(さとう・たくや)
株式会社アイエムジェイ 代表取締役
アイエムジェイ労務経営管理事務所 代表
厚生労働省認定 開業社会保険労務士
東京都社会保険労務士会 新宿支部所属
パチンコ営業経験が豊富な人と組織の問題解決プロフェッショナル。
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