3月10日付けのプレミアム記事「最新ゴトの手口について」で昨今の状況を解説しているが、関係者に聞くと「ゴトは減っているのではく、気付いていないだけ」という。
日工組からメーカー正規品のゴト対策部品が出されているが、それ以外の様々なメーカーの機種でも、ゴト行為が行われる際に遊技機の筐体に付く傷が確認されている。実際にゴト被害の情報は出ていないものの、ゴト行為が可能かどうか試す際に付いた傷なのか、またピアノ線ゴトやドツキゴトで道具を挿入できずに付いた傷なのかは不明だ。このような筐体の傷については、ゴト師が今後、長期的にゴト行為を行うための下準備と考えるべきで、十分に警戒してほしい。
こうした傷を付ける行為は、以前のパチスロ機で行われていた狡猾なゴト師グループの行動パターンとよく似ている。実際、現時点で傷が確認されている店舗は、以前にもパチスロ機に複数の傷が確認された店舗と合致するケースが多い。数カ月の間はゴト行為を行わずに、今後の下準備として正規従業員がほとんどいない店舗や時間帯を調べ出しているという話も聞かれる。
こうした常駐型のゴト師による被害は、ほとんどの場合、店舗側にゴト被害の認識や意識がないところが問題だ。ゴト被害に遭うという認識や意識が欠如していると、ゴト対策のための確認や調査をしなくなくなるばかりか、そもそも自店にゴト被害はないという認識になってしまう。ちなみに常駐型のゴトについては、その確認方法はそれほど難しくはない。日頃から遊技機の筐体をチェックし、ある時点で筐体の傷を見つけたら写真で記録しておき、その後に新たな傷が発見されたらこれまで記録している傷と比較する。新たな傷が増えている場合はゴト師が入店している可能性が高いため、それを自覚して警戒し、監視を強化することで未然に防止できる。
こうした手口で狙ってくるゴト師は、ゴトの手口や器具をより進化させて絶対に発見されないことを目的にしているため、店舗側が少しでも警戒している様子が見えると、その店舗では狙っている台が店内移動されるまで何もしない。なお、既にデータ異常が確認されている場合は、攻略法なのかゴト行為によるものなのか検証が必要だが、まずは遊技機の筐体に傷が付いているかどうか確認してもらいたい。
また、これから導入台数が増えていくスマスロについては、これまでのようなホッパーゴトやセレクターゴト、メダルの持ち込み等といった不正行為はなくなるものの、その一方で各種データを偽装するゴトが出てくるかもしれないという懸念もある。ゴト師グループが遊技機とユニットとのデータ通信の仕組みの解析などに時間をかければ、そのようなゴトを可能にする部品等が開発される可能性は否定できない。
このあたりについては、スマート遊技機には情報管理センターがあって常時データ監視しているから大丈夫といった見方が主流だが、データ自体を巧妙に偽装されてしまったらその監視も難しくなる。また、そうしたゴト部品等の取り付けについては、中古機移動時や倉庫保管時、閉店後に取り付けられることが予測できる。仮にスマート遊技機を狙ったゴトを可能にする部品等が開発されるとしても数年後になると思われるが、ゴトは起こらないと安易に考えるのでなく、起こるかもしれない可能性も認識しながら、しっかりとした対応が求められる。