2023.8.22

真夏の陸上競技場で

季節の移ろいを風情として感じる余裕さえ失わせるような苛酷な残暑を、日陰を選びながら歩き汗を流して過ごしている。外出先の街中の自販機やコンビニで麦茶とポカリスエットばかり買って飲んでいるせいか、ふと部活動をしていた当時のことを思い出した。

私は中学・高校では陸上部に所属しており、東北地方において跳躍と短距離ではそこそこの選手だった。高校時代の同級生女性マネージャーが作ってくれる麦茶には少しばかりの砂糖が入っており、熱い日差しの下でガブ飲みすると文字通り生き返ったような心持ちになったものだ。

あの味わいは自分ではなんとも再現し難いと思ったので、つい先日残暑見舞いの連絡ついでにレシピというか砂糖の配分を聞いてみたのだが、彼女の応えは「そんなの、特別なやり方なんかなくて、市販の麦茶パックに適当量の砂糖を入れて作っていた」という、実に素気ないものだった。ならばと、その通りの材料と方法で作ってはみたが、どうも違うようだった。

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