2026.1.30

【期間限定公開】若年層の奪い合いはますます激化 独自のアプローチが有効になる!?

今年の干支は丙午。聞いたことがあるかと思いますが、丙午生まれの女性は災いを招くとか、男性を食い殺すといった迷信があります。

発端は、江戸時代に井原西鶴が実話を元に書いた作品に登場する「お七」だとか。放火の罪で死刑になってしまうのですが、彼女が丙午生まれのように扱われており、歌舞伎や浄瑠璃で人気を博したため、冒頭の話が広まったようです。

しかし、実在した「お七」の生まれ年は不明。つまり、「丙午生まれの女性は〜」に根拠はないわけです。それなのに、60年前の1966年は出生数が大きく低下しました。今年に関しては、今なお迷信が出生数を左右するか予測が難しいところです。

さて本題ですが、現時点で予測可能な今年の採用市場をお伝えしたいと思います。

主力はベテランばかり 若年層の離職も大きな問題

仕事柄、ホールの採用担当者と話す機会が多いわけですが、昨年は従業員の高齢化に関する悩みをよくお聞きしました。当記事の第37回でも触れていますが、店舗運営を支えているのは、長らくホール運営の屋台骨として頑張ってきた40代以上のベテランたち。本来なら20代〜30代の若手にバトンタッチしたいところですが、なかなか思うようにはいきません。 背景には、若手人材の不足に加え、経験不足から安心して任せられる人材が育っていないという切実な事情があります。人材の数と質、その両面で頭を悩ませる日々が続いているのです。

一方で、若年層の採用が難しく、運良く採用出来ても定着しないということも大きな問題。採用市場が活発で、若年層は「どうせ職はすぐ見つかる」とばかりに、些細なことで辞めてしまいます。「将来は会社を引っ張っていってほしい人材が、育つ前にいなくなってしまう」、これが現場の悲痛な叫びです。パチンコ業界の外にも選択肢があふれている今、他業種への流出を食い止めるのは容易ではありません。

「頑張ればすぐ店長」は 求職者に刺さりにくい

競合店・競合企業が同じ状況で同じ悩みを抱えているとなると、当然パイの奪い合いになります。今年、若年層の採用は、より厳しくなると予想出来るわけです。

求職者の心をつかむために、「当社は20代・30代が手薄な分、若いうちから店長になるチャンスがあります」といった伝え方をしている企業も多いはず。組織の現状を包み隠さず開示し、キャリア志向の強い人材に対してポストの空きを強調することは、入社意欲を高めるための有効なアプローチと言えるでしょう。

しかし、多くの求職者は並行して何社もの面接を受けています。1社だけなら魅力的な言葉も、何度も聞かされれば「またこの話か」と、冷めた印象に変わってしまうかもしれません。表面的なチャンスを伝えるだけでは、他社との差別化や惹きつけも難しくなっているのです。

採用したいのは単なる若者? 将来の中軸となる若者のはず

ネガティブなことばかり書いても仕方がないので、“そもそも”を少し考えてみましょう。

「若年層を採用したいが、難しいのでいかに工夫するか」という思考になっているかもしれませんが、なぜ若年層を採用したいかというと、「将来、会社の中核を担ってくれる人材が欲しいから」のはずです。“すぐ辞めてしまう20代”を採用したいわけではないでしょう。

ですから、「それに見合う若年層を採用するにはどうしたら良いか」を考える必要があります。あくまでも私見ですが、求職者に独自のアプローチをし、自社のカラーを打ち出していくのが有効ではないでしょうか。

例えば、前号でお伝えしたロールモデル。早期に店長に抜擢された事例を作るわけです。そうなれば、面接で「頑張ればすぐに店長になれる」と言った後で具体例を付け加えられますから、差別化や惹きつけにも一役買ってくれることでしょう。

キャリアの浅い若手の場合、採用を人事担当者のみで完結させてしまう企業も少なくありません。しかし、あえて社長や役員が自ら面接に加わり、会社のビジョンや未来への想いを直接語るのも良いでしょう。

効率や条件が重視される今、想いだけでは不十分だと感じる方もいるかもしれません。しかし、そのメッセージに共鳴し、同じ志を持ってくれる人材こそが、本来必要としている人物像ではないでしょうか。以前、二次面接の食事の席で社長がざっくばらんに話をして採用が決まったという事例を紹介したので、覚えている方もいるでしょう。

こういった手法で必ず成功すると言っているわけではありません。いかにして将来の幹部候補を採用するか、そのために自社の方向性をどうすべきかと考えることが重要ではないか、ということです。

今や、採用における競合は同業他社にとどまりません。休日数の増加、エリア社員制度の導入、業界の強みであった待遇面のさらなる拡充など、各社がビジョンに基づき、求める人物像に合わせた制度改革を加速させています。 しかし、その根底にある会社の想いが伝わっていなければ、求職者は提示された条件や制度のみで優劣を判断し、結果として採用競争に競り負けてしまうこともあり得ます。今こそ採用の原点に立ち返り、会社の想いに深く共感してくれる仲間を集めることに注力すべきではないでしょうか。

さて、丙午の年は情熱や勢いが高まり、大きな飛躍のチャンスが訪れるという説もあります。迷信だと鼻で笑うか、それならばと採用に熱を入れるか、どうしますか?

 

筆者紹介:嶌田堅一(しまだ・けんいち)
キャリアコンサルティンググループ
マネージャー
大学卒業後、㈱パック・エックスに入社。人材紹介事業を10年以上経験、国家資格キャリアコンサルタントを取得。これまで2,000人以上の支援を行っている経験・実績豊富なアドバイザー。

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