ゴト師による不正及び不正改造の遊技機点検の必要性
パチスロに対する不正改造が最後に確認されたのは、2020年7月に大都系パチスロに対するメダルの不正払い出しでした。

この時期は、2019年12月に中国の武漢で発生したコロナ感染症の影響で、2020年8月に半導体不足が深刻化する直前です。2020年4月には、超小型で１チップのコンピュータ部品（湯沸し器の制御パネル、白物家電のパネル制御、遊技機の不正改造に使用されるもの）を一般の人間が入手できない状況でした。半導体部品が入手不可能になったことで不正改造装置の製造ができなくなったのが、大都系パチスロに対するメダルの不正払い出しの被害が止まった原因です。

今後は、新たな不正改造部品が生産され、パチンコ店に取り付けられることが予想されます。しかし多くの店舗では、3年以上の間に不正改造部品の被害報告がないことで、現在の遊技機には不正改造被害ができないと誤解しています。コロナ禍の店舗売上減少やスマート遊技機の設備投資等があり、他の経費削減を余儀なくされ、定期的に行われていた遊技機の点検を行わなくなっています。

こうした状況は、不正改造部品による被害の発覚が遅れることにつながります。ゴト師はこれまでも、遊技機の定期点検の有無や危機管理意識の高さ、監視カメラの設置状況を調査し、ゴト行為を行っています。パチンコ店の従業員は長い間、遊技機の点検業務を行っていません。外部情報を入手した場合のみ点検をするか、あるいは点検すら実施しない店舗が大半を占めています。これでは、内部不正に対する抑止はできません。

店舗の現状と店舗の遊技機検査の必要性
パチンコ店の従業員は、ホールスタッフ不足によって作業時間が取れません。遊技機も、使用される配線が以前と比べて格段に増加かつ複雑になり、故障した場合の部品交換も容易ではありません。遊技機の点検業務も、知識や経験がなければできないのです。つまり、従業員に遊技機の点検業務をさせようとしても難しいのが現状なのです。

検査を実施しない店舗で、不正部品による被害が発生した場合を考えてみます。日常的な点検業務が行われないがために、長期的に被害が続いても、異常を店舗や本社管理部が感知できません。異常に気づいて外部機関に検査を依頼するのは、店舗からお客様がほとんどいなくなり、予定の収益が出せなくなってからです。最悪の状況としては、業績悪化で閉店した後に不正部品やゴト被害の痕跡が多数見つかる場合です。つまり、ゴト師によって閉店させられたわけで、予想される企業の被害金額は数億円にも上ります。

人気機種の稼働が近隣他店と比較して極端に低いか利益が取れない場合、あるいは三か月で急激に稼働（低貸し遊技機は除く）が下がった場合は、遊技機の総合的な点検を実施する必要があります。また、遊技機の初期トラブルを除く故障頻度が他店と比べて多い場合も、点検が必要です。

遊技機の検査業務を行う企業は、独自の情報を持ち、遊技機の構造や制御方法から、被害可能性のある遊技機に対する不正改造を予測して検査を実施しています。ゴト師によるものなのかを判断するためにも、検査業務を行いながら、遊技機の故障を未然に防ぐための対策も実施します。遊技機の故障は人気機種かつ稼働の高い遊技機が多く、修理のために2週間も遊技機を停止しておくのは店舗にとって大きな損失だからです。故障した遊技機は不正改造された可能性もあるため、時間をかけて点検する必要があり、故障遊技機を予防することは必要な作業と考えています。

店舗間で移動した遊技機及び中古遊技機の点検は、必ず行う必要性があります。６か月ごとに遊技機検査を実施し、店舗調査を毎月行うことをお勧めします。店舗の調査とは、稼働の異常や不良客の入店状況を営業中に確認し、異常の可能性がある場合は店舗の管理部に報告しつつ、閉店後に緊急検査を実施します。

遊技機検査に効果
遊技機検査を実施することで、ゴト師グループによる従業員の買収事案や不正改造事案の抑止になります。遊技機に対する不正行為の痕跡を調べて簡易的対策を実施することだけでも、ゴト師の入店の抑止になります。ゴト被害を抑止することで、店舗が低貸し台を増やして低貸し店化することなく、通常営業を継続出来る効果があります。

警戒が必要な遊技機
現在設置されている遊技機では、パチスロのZEEG筐体は不正改造部品が共通で使用可能となるメリットから警戒が必要です。スマートパチスロ機もサンドと遊技機間の配線に対する不正部品の取り付けに注意が必要です。

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