日遊協総会で警察庁保安課の小堀課長が行政講話

日遊協は6月17日、第32回通常総会を開催。席上、警察庁保安課の小堀龍一郎課長がリモートで行政講話を行った。以下、その全文。
 
一般社団法人日本遊技関連事業協会 令和3年度通常総会における課長講話
 
 本日、一般社団法人日本遊技関連事業協会の令和3年度通常総会が執り行われましたことを心からお慶び申し上げます。また、皆様方には、平素から警察行政の各般にわたり、深い御理解と御協力をいただいており、この場をお借りして御礼申し上げます。
 
 さて、昨年8月に貴協会の会長に西村拓郎氏が選任され、今回は初めての通常総会となりますが、西村会長をはじめ、皆様方におかれましては、コロナ禍の中、それぞれの立場で、この難局を乗り越えるため様々な努力を重ねてこられております。
 コロナ禍は、全国のあらゆる業種、あらゆる方々の生活に負の影響を与えていますが、一方で、平素は感じないことに気づかせてくれることもあります。日々の報道等をみますと、これ程まで広く深く個々人の行動が互いに繋がり合っているのかと気づかされますが、業界の状況をみましても、個社の行動が業界全体に影響を及ぼしたり(良い面も悪い面も)、ホール、メーカー、販売会社の行動が互いに影響を及ぼし合ったりしていることを感じます。だからこそ、業界としてのまとまり、団体の取組が大切だと改めて感じますし、日々、団体の活動に貢献されている皆様の姿に敬意を感じる次第であります。
 
 本日は、そのような例を何点かみながら、日遊協に期待するところを述べたいと思います。
 
 まず、これまでの業界における新型コロナウイルス感染症対策を振り返ります。皆さんご案内のとおり、昨年春、緊急事態宣言の下、休業要請が出される中で、一部のぱちんこ店がこの要請に応じず、店の前に行列ができるなどし、世間から大きな批判を受けました。
 他方で、緊急事態宣言や休業要請が出される前から、自発的に臨時休業を始める貴協会の加盟企業を含む複数の大手企業がありました。そのような牽引力と、貴協会や全日遊連等の幹部による休業に向けた説得により、全国のほとんどのぱちんこ店が休業しました。
 しかし、一部の店が知事の要請に応じず、指示処分を受けるまでになり、国民のぱちんこに対するマイナスイメージが形成されてしまったことは否めません。
 その後、各店舗では、ぱちんこ玉やぱちんこ台を丹念に清掃するなどして営業を再開しましたが、業界では、各店舗の指針となる、感染防止のためのガイドラインを策定しました。
 さらに、貴協会では、「コロナ対策コンソーシアムPT」を立ち上げ、一歩先に進んだ取組を進めました。学術機関と連携し、専門的知見を踏まえた感染防止対策を推進するとともに、その情報発信に努めています。
 このような陰の努力もあり、これまで、ぱちんこ店でクラスターが発生したという情報には接しません。
 
 ここで改めて感じるのは、団体としての取組の大切さです。もし本業界の団体が名ばかりで機能しない、あるいは議論ばかりで行動を伴わないものであれば、もっと状況は悪かったかもしれません。貴協会における「コロナ対策コンソーシアムPT」も、専門家の力を借りてより良い感染防止対策を講じるための具体的な行動として、業界をリードする大変良い取組と評価しています。
 
 今後も、ウイルスの変異などに伴い、講ずべき対策が変わることが想定されますので、政府や各都道府県からの最新の情報、要請や働きかけの内容等を十分に踏まえつつ、ぱちんこホールからは感染を広げないとの決意の下、感染防止対策を徹底していただきたいと思います。
 
 次に、コロナ禍で浮上した課題として、遊技機の入替について触れたいと思います。
 昨年5月に国家公安委員会規則を改正し、旧規則機の撤去に係る経過措置期間を1年延長しました。この改正の趣旨については、これまでも累次申し上げていますが、業界団体の要望を受け、新型コロナウイルスの影響を踏まえつつも、射幸性の抑制という命題を後退させないことを前提に、旧規則機の撤去を計画的に分散化して行うため改正を行ったものです。
 経過措置期間を延長することは、遊技機メーカーや販売会社にとって、とても厳しいことです。改正前には業界団体の幹部の方々と種々話し合いをしましたが、もしホール、メーカー、販売会社が個々で言い合い行動していれば、話は纏まらなかったでしょう。しかし今回は、業界の総意として、この前例のない危機を業界全体で乗り越えるため、経過措置期間を延長した上で、入替を計画的に分散化して行うこととされました。そのような前提、すなわち、業界団体の取組への信頼がベースにあったからこそ、規則改正が行われたものでした。業界では、その趣旨を具現化し、パチンコ・パチスロ産業21世紀会で、計画的な撤去に関する決議を行いました。先般、コロナ禍の厳しい影響を受けて、この決議の一部改定が行われ、新たに月ごとに新規則機の設置比率が定められたと承知しています。
 
 業界内では、この決議をめぐり、一部苦慮したことがあったと聞いていますが、今回の一連の流れにおいても、業界団体の取組、団体相互のまとまりの大切さを感じたところです。
 
 今後も、業界の決議で示した数値目標の確実な達成に向け、横断的組織である貴協会が存在感を発揮されることを期待しています。
 
 旧規則機の撤去を進めるに当たり、その分散化を図る趣旨の一つでもある、「廃棄」の問題について触れたいと思います。
 ご案内のとおり、かつて廃棄された遊技機が「野積み」等として社会問題化しました。また、撤去された遊技機が適切に廃棄処理されず、所謂「闇スロ」に用いられることも懸念されます。既に、日遊協九州支部を含む九州の遊技業界では撤去・回収を進めるため積極的な取組が行われていると承知しています。また、日工組により遊技機回収システムが整備されています。しかし、一部の事業者によるものであっても、不適切な廃棄があれば、業界全体に対する大きなダメージとなります。撤去した遊技機の取扱いを運送業者に任せているホールはないでしょうか。倉庫に保管したままの旧規則機については、早い段階から計画的に廃棄を進め、遊技機のリサイクルシステムが機能不全に陥らないようにしていくことが大事です。
 遊技機の適正な管理・廃棄が確実に行われるよう、業界の各団体が、それぞれの立場で何ができ、何をすべきかを真剣に考え、行動に移していただくよう、この分野においても貴協会が存在感を発揮されることを期待しています。
 
 新規則機については、遊技機メーカーにおいて開発努力が続けられています。当庁においても、射幸性を上げることにつながるものではなく、魅力ある遊技機作りが可能となるよう、多彩な演出やゲーム性を高める内容の要望については、前向きに対応しているところです。
 また、昨年より当庁と日工組、日電協の方々との間で話し合い、型式試験の適合率を高めるための対策がなされています。遊技機メーカーによる引き続きの努力をお願いします。
 
 最後に、のめり込み・依存問題について触れます。
 依存問題に関しては、業界においては、既に基本計画に基づき、ぱちんこの依存防止対策に係る実施規定を制定するなどしていますが、同計画に掲げられた取組が確実に達成されるよう、引き続き積極的な取組をお願いします。
 のめり込み・依存対策の根本は、皆様が営業の用に供している、ぱちんこが人を引き付ける大きな力を持つことの自覚にあります。その大きな力が故に、人によっては、遊技が過度になってしまい、負債、家庭問題等に至ることがあります。もちろん、息抜き、楽しみとして適度に遊んでいる方も多くいます。しかし、現実として問題を抱えるに至る方もいるということです。これは誰が悪いということではありません。ただ、のめり込み・依存問題で困っている本人、あるいはご家族から「店に来たら止めてほしい」と頼まれたときに、しっかり受け止め、誠実に応えることが必要です。
 これをシステム的に行うのが、「自己申告・家族申告プログラム」です。現状としては、導入店舗数が未だ全体の半数程度にとどまっており、また、都道府県ごとに導入率に大きな差があります。例えば、石川県、香川県、佐賀県では、約9割の店舗で導入が進んでいる一方、導入店舗数が未だ2割程度にとどまっているところもあります。
 貴協会では、その導入に尽力され、特に「本人の同意のない家族申告による入店制限」については、貴協会会員の大手ホールが全店で導入したこともあり、店舗数が大幅に増加しています。
 さらに貴協会では、「本人の同意のない家族申告プログラム」について、助言機関によるサポート体制構築や事例勉強会の開催なども実施していると承知しています。
 こうした業界全体を牽引する取組を引き続き推進し、「自己申告・家族申告プログラム」の更なる普及・充実と、同プログラムの実効性を高める取組を進められることを期待しています。
 また、自己申告・家族申告プログラムを実効性もって担保するのが「顔認証システム」です。貴協会では、「顔認証等個人認証システムの活用に係るモデル事業勉強会」を開催し、モデル事業を実施している大手企業の取組を参考に、プログラム申告対象者の把握を容易にするための検討を行うなど、先進的な取組を実施しています。
 このほか、貴協会では、会員である複数ホール経営者が、現在設置しているATMを順次撤去しているところと聞いています。
 このように、のめり込み・依存問題対策でも、業界をリードする取組を打ち出しており、私どもとしても大変心強く思っています。
 
 以上、貴協会が業界をリードし、これからもリードすることが期待されることを中心にお話させていただきました。
 
 貴協会は、業界唯一の「横断的組織」です。また、平成元年に設立されて以来、一貫して「公益性」を意識し行動してきた団体です。射幸性、のめり込み、依存といったコアな問題から、流通、販売、環境等と多岐にわたる課題について、業界内では様々な意見がある中で、「社会から見られる視点」を冷静にみて、あるべき姿を追い求めてきた歴史があります。
 貴協会の旗印の一つである「社会的地位の向上」という点に関しては、業界の長年の念願であった、信用保証協会の保証、政府系金融機関の支援は、昨年5月に実現しました。国民の理解が得られるかが問題でしたが、大きなネックは、ぱちんこの射幸性でした。この点に関し、規則改正による射幸性の抑制により、理解を得ることができました。
 
 コロナが落ち着いた後、ぱちんこ営業を取り巻く状況はどうなっているでしょうか。気晴らしをしたい反面、レジャーに使用できる金額に変化が生じているかもしれません。
 
 今一度、広く親しまれてきたぱちんこの原点に立ち返り、新規則機を活用し、客が安く安心して遊べる新たな遊技環境を創り出していかれることを期待します。また、そうした中で、貴協会が、その特徴を活かし、引き続き、様々な視点からバランスの取れた取組を打ち出し、業界の健全化に一層ご尽力されることを大いに期待しています。
 
 結びに、貴協会のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を心より祈念いたしまして、私の話を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。

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