パネルディスカッションの模様
MIRAIぱちんこ産業連盟は8月25日、都内台東区のオーラムでWEBを併用した経営勉強会を行った。今回の勉強会では、「デジタル化社会を見据えたぱちんこの広告宣伝ルールの在り方」をテーマにパネルディスカッションを開催。三堀弁護士事務所の三堀清弁護士、PAAの大島克俊理事長、同・諏訪直人理事、同柳井猛晶参与の4名がパネラーを、法律・規則部会の生島靖也部会長が司会をそれぞれ務めた。
生島氏は、遊技機性能への対応や依存対策など、この10年間の業界の取り組みや、広告宣伝の手法がアナログからデジタルへ変化してきた状況、さらに、平成24年に警察庁から発出された「ぱちんこ営業における広告、宣伝等に係る風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反の取締り等の徹底について(通達)」の行政文書の保存期間が来年終了する点を強調しながら、ルール見直しの必要性を説明し、その是非をパネラーに質問した。パネラーからは、「行政文書の保存期間が到来したとはいえ、行政の姿勢は変わらず、今後も同様の指導は行われていくはず」との見方が示された一方で、インターネットの活用によって媒体や広告宣伝ツールが多様化している状況を踏まえたルール変更の必要性が述べられた。パネラーを務めたぱちんこ広告協議会(PAA)などによると、これまでパチンコファンを対象に店内や店舗周辺に力点が置かれていた広告宣伝活動は、マスメディアの活用によってその対象域が広範囲に拡大。それに伴いインターネット(SNS)を利用した広告も増えてきており、例えばチラシ広告の費用は2019年以降、ダイレクトメールと逆転し、総広告費の11%から4%と半分以下まで縮小し、反対にネット広告(SNS)の方は、コロナ禍でも増加し続け、総広告費の36%を占めるまでに膨らんでいる状況が説明された。
具体的な見直しの方向性について生島氏は、法令や解釈運用基準の見直しは対象外としながらも、それ以外については、「事実を正確に告知していない」もしくは「客に誤認させるような表記を用いる場合」のみ不可とする方向で見直していくことは可能ではないか、と述べた。この際、事例として出されたのが、遊技機における出玉率や検定時の性能、設定情報などの「事実告知」の開示で、生島氏は「良い情報」だけを提供するのではなく、下限値や他の設定の割合といった「マイナス情報」もバランスよく開示する必要があると提起した上で、「遊技機規則などの基準内であれば、その性能や機能の広告宣伝を行うことは、消費者目線で考えた場合、商品(遊技機)の情報を正確に伝える意味でも必要」と語った。これに対してはパネラーからは、「ホールと最も利害関係にある一般ユーザーの視点で考えれば、適正な情報を提供するという考えは必要。正確な情報を伝えなければ、過度なのめり込みなどの問題につながる恐れもある。ただし、そこには情報の正確性を担保する制度も不可欠」「遊技機のスペックと消費金額の目安があれば有益な情報になりえる。依存対策としても有効ではないか」といった意見が寄せられた。
ルールを見直す際のポイントとして「事実を正確に伝える」ことを強調した生島氏は一方で、そこには一定の規制も必要との認識を示し、いくつかの事例を紹介しながらその必要性も説明した。パネラーからも「パチンコ店が風適法に基づいていることを再認識し、それに沿った自主的なガイドラインを業界全体で設けるべき」と、見直しには一定の条件が必要との意見が挙がった。パネルディスカッションを総括した生島氏は、「悪い意味での緩和や社会から問題視されるような内容はだめだが、さまざまな角度から『時代にあった』『わかりやすい』広告宣伝ルールへ変えていくことは消費者の視点からも必要。見直しに向けた議論を業界で始めても良いのではないか」と呼び掛けた。