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- 増客・業績アップにつながるカスタマー・エクイティ戦略Part7(最終回)
~カスタマーピラミッド戦略③ 顧客錬金術の手法~
業績アップに向けた戦略として、実践性の高い「カスタマー・エクイティ戦略」は、今回で最終回となります。
(来月からは新たな戦略を解説します。)
まずは、毎回冒頭に掲載した書き出しからスタートです。
なぜ顧客はその店に行くのか?
来店が「結果」であれば、その「原因」は何か、という「原因・結果の法則」にも繋がる理論を展開し、
顧客の来店頻度を上げることで、顧客の生涯資産(価値)を高めることができるという考え方があります。
それが、5回に亘り解説してきた「カスタマー・エクイティ戦略」です。
そのカスタマー・エクイティの機軸となる購買動機に繋がる3つのドライバー(刺激要因)は以下の3つです。
(1)バリュー・エクイティ:提供物・効用そのもの直接的な価値
①品質、②価格、③利便性(入手コスト)
(2)ブランド・エクイティ:ブランドに関する価値
①ブランドの認知、②ブランドへの態度形成、③ブランド倫理
(3)リテンション・エクイティ:顧客維持につながる価値、関係性の価値など
①ロイヤリティ・プログラム
②特別な認知と待遇
③コミュニティ・ビルディング
④知識・知見プログラム
⑤デジタル対応
前回は、本戦略の集大成たる顧客錬金術に繋がるカスタマーピラミッド戦略として、
下位のレッド(鉛)層、アイアン(鉄)層、ゴールド層から、どのようにしてプラチナ層へ
レベルアップさせて行くのか、その概要を解説しましたが、
最終回となる今回は、上記にあるバリュー、ブランド、リテンションの各エクイティの
切り口ごとに具体的な対応方法を考察します。
(1)バリュー・エクイティ
【レッド層→アイアン層】
●新規顧客開拓 ・試打会の実施(モーニング試打会など)
・遊技の説明ビデオの放映及び初心者顧客対応スタッフの充実
・お試しコーナーの常設
・待ち時間が生じる業種との併設(コインランドリー、洗車等)
・休眠顧客の呼び戻し(離反原因の排除、リメンバー機種のアプローチ)
・大学等の同好会へのプッシュ
など
以上のように、PS遊技の未経験者にどう遊技を体感させるかが
まずは新規の顧客化へのポイントとなります。
また、以前は顧客だったが現在は遊技していないという休眠顧客を
呼び戻すこともこの層に対するアプローチのポイントとなります。
【アイアン層→ゴールド層】
●標準化・平準化(付加価値提供の差別化)
・本来特別だったサービスの標準化
・新たな提供サービスの平準化
・利便性の向上
・関連施設の充実
・レア賞品の品揃え
など
以上のように、競合店と比べて付加価値提供が多いことで、
同じ遊技をするなら当該店舗にしようと思ってもらえる要因を
高めて行くことがポイントなります。
そうした提供価値の差別化充実により、
当該店舗の利用頻度を上げて行く結果に繋げます。
【ゴールド層→プラチナ層】
●特別・特定・限定
・新台情報優先提供
・特別データ開示
・優先応対
・新台購入協議参加
・店舗運営評議員化
など
以上のように、プラチナ顧客にならなければ得ることが出来ない
付加価値を提供することがポイントなります。
これにより、顧客のロイヤルカスタマー化を促進させます。
(2)ブランド・エクイティ
【レッド層→アイアン層】
●新規顧客開拓
・コミュニティへの参加
・複合商業施設への入居
・地域支援プログラムの実施 など
以上のように、まちづくりやまち起こしなどに参加するなどし、
未経験者への認知や推奨の促進や、ショッピングモール出店などによる
認知浸透などがポイントとなります。
【アイアン層→ゴールド層】
●標準化・平準化(付加価値提供の差別化)
・チェーン店化によるブランド化
・オンリー要素によるブランド化(高貸専門、低貸専門など)
・イメージの統一
・ブランド露出
など
この段階では、店舗のブランド拡大・浸透による顧客認知増を図る施策が有効となります。
【ゴールド層→プラチナ層】
●特別・特定・限定
・オリジナルグッズの開発
・パスワードのスペシャル情報
・メーカーとのオリジナル商品(遊技機、賞品)開発
など
この段階になると、さらに顧客の愛顧心向上に繋がる各種アイデアの具現化が
ポイントになってきます。
(3)リテンション・エクイティ(関係性構築、デジタル対応)
【レッド層→アイアン層】
●新規顧客開拓
・無料講習会
・ポイント連携
・会員特典
・パチンコ保険開発(費消金額の補填保険など)
など
パチンコ未経験者の参加障壁を取り除く、関係性構築プログラムが有効となります。
【アイアン層→ゴールド層】
●標準化・平準化(付加価値提供の差別化)
・会員向け情報ツール
・会員カードプレミアム平準化
・ゴールドカード発行
・バースデーカード送付
の段階では、他店では会員向け特典であるプログラムを
自店では通常に展開されているというような一段上の会員対応が
ポイントとなります。
【ゴールド層→プラチナ層】
●特別・特定・限定
・専用モバイル
・コンペティション参加資格
・VIP何でも相談コーナー
・優先取り寄せ
・特別・限定情報無料ツール
・特別待遇(名前で呼ぶなど)
・他業種連携割引制度
・特別送付
・個別対応
この段階になると、ロイヤルカスタマーになることで、
VIP会員として特別・限定・特定の便益を享受できる
魅力的な提供プログラムの展開がポイントとなります。
<まとめ>
以上のように、『顧客の来店動機に繋がる3つのエクイティに対し働きかけ、
カスタマーピラミッドをレベルアップすることで、来店頻度を増やし、
顧客の生涯資産化を高めることで、業績アップを実現する。』
これが、「カスタマー・エクイティ戦略」です。
業績アップに繋がる実践的営業戦略ですので、内容をひも解いて、ぜひご有効活用下さい。
今回以上です。
筆者紹介:田守順(たもり じゅん)
1959年5月3日、北海道帯広市生まれ。アミュゼクスアライアンス代表世話人。中小企業診断士。
明治大学商学部卒、多摩大学大学院経営情報研究科修了(MBA取得)。30歳の時、
父親の経営する企業に入社。経営者として3店舗だったホールを10年間で9店舗に拡大(2003年5月終了)。
1999年度日本青年会議所副会頭に就任。2014年から高崎経済大学の大教室で「ベンチャービジネス論」
「イノベーション論」を、2019年から明治大学経営学部の大教室で「サービス業の運営管理」の講義を行っている。
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