2024.5.30

増客・業績アップにつながるカスタマー・エクイティ戦略Part7(最終回)

~カスタマーピラミッド戦略③ 顧客錬金術の手法~

業績アップに向けた戦略として、実践性の高い「カスタマー・エクイティ戦略」は、今回で最終回となります。
(来月からは新たな戦略を解説します。)

まずは、毎回冒頭に掲載した書き出しからスタートです。

なぜ顧客はその店に行くのか?

来店が「結果」であれば、その「原因」は何か、という「原因・結果の法則」にも繋がる理論を展開し、

顧客の来店頻度を上げることで、顧客の生涯資産(価値)を高めることができるという考え方があります。

それが、5回に亘り解説してきた「カスタマー・エクイティ戦略」です。

そのカスタマー・エクイティの機軸となる購買動機に繋がる3つのドライバー(刺激要因)は以下の3つです。

(1)バリュー・エクイティ:提供物・効用そのもの直接的な価値 
 ①品質、②価格、③利便性(入手コスト)

(2)ブランド・エクイティ:ブランドに関する価値
 ①ブランドの認知、②ブランドへの態度形成、③ブランド倫理

(3)リテンション・エクイティ:顧客維持につながる価値、関係性の価値など
 ①ロイヤリティ・プログラム
 ②特別な認知と待遇
 ③コミュニティ・ビルディング
 ④知識・知見プログラム
 ⑤デジタル対応

前回は、本戦略の集大成たる顧客錬金術に繋がるカスタマーピラミッド戦略として、

下位のレッド(鉛)層、アイアン(鉄)層、ゴールド層から、どのようにしてプラチナ層へ

レベルアップさせて行くのか、その概要を解説しましたが、

最終回となる今回は、上記にあるバリュー、ブランド、リテンションの各エクイティの

切り口ごとに具体的な対応方法を考察します。

(1)バリュー・エクイティ

【レッド層→アイアン層】

●新規顧客開拓 ・試打会の実施(モーニング試打会など)
 ・遊技の説明ビデオの放映及び初心者顧客対応スタッフの充実
 ・お試しコーナーの常設
 ・待ち時間が生じる業種との併設(コインランドリー、洗車等)
 ・休眠顧客の呼び戻し(離反原因の排除、リメンバー機種のアプローチ)
 ・大学等の同好会へのプッシュ
  など

以上のように、PS遊技の未経験者にどう遊技を体感させるかが

まずは新規の顧客化へのポイントとなります。

また、以前は顧客だったが現在は遊技していないという休眠顧客を

呼び戻すこともこの層に対するアプローチのポイントとなります。

【アイアン層→ゴールド層】

●標準化・平準化(付加価値提供の差別化)
 ・本来特別だったサービスの標準化
 ・新たな提供サービスの平準化
 ・利便性の向上
 ・関連施設の充実
 ・レア賞品の品揃え
  など

以上のように、競合店と比べて付加価値提供が多いことで、

同じ遊技をするなら当該店舗にしようと思ってもらえる要因を

高めて行くことがポイントなります。

そうした提供価値の差別化充実により、

当該店舗の利用頻度を上げて行く結果に繋げます。

【ゴールド層→プラチナ層】

●特別・特定・限定
 ・新台情報優先提供
 ・特別データ開示
 ・優先応対
 ・新台購入協議参加
 ・店舗運営評議員化
 など

以上のように、プラチナ顧客にならなければ得ることが出来ない

付加価値を提供することがポイントなります。

これにより、顧客のロイヤルカスタマー化を促進させます。

(2)ブランド・エクイティ

【レッド層→アイアン層】

●新規顧客開拓
 ・コミュニティへの参加
 ・複合商業施設への入居
 ・地域支援プログラムの実施 など

以上のように、まちづくりやまち起こしなどに参加するなどし、

未経験者への認知や推奨の促進や、ショッピングモール出店などによる

認知浸透などがポイントとなります。

【アイアン層→ゴールド層】

●標準化・平準化(付加価値提供の差別化)
 ・チェーン店化によるブランド化
 ・オンリー要素によるブランド化(高貸専門、低貸専門など)
 ・イメージの統一
 ・ブランド露出
 など

この段階では、店舗のブランド拡大・浸透による顧客認知増を図る施策が有効となります。

【ゴールド層→プラチナ層】

●特別・特定・限定
 ・オリジナルグッズの開発
 ・パスワードのスペシャル情報
 ・メーカーとのオリジナル商品(遊技機、賞品)開発
 など

この段階になると、さらに顧客の愛顧心向上に繋がる各種アイデアの具現化が

ポイントになってきます。

(3)リテンション・エクイティ(関係性構築、デジタル対応)

【レッド層→アイアン層】

●新規顧客開拓
 ・無料講習会
 ・ポイント連携
 ・会員特典
 ・パチンコ保険開発(費消金額の補填保険など)
 など

パチンコ未経験者の参加障壁を取り除く、関係性構築プログラムが有効となります。

【アイアン層→ゴールド層】

●標準化・平準化(付加価値提供の差別化)
 ・会員向け情報ツール
 ・会員カードプレミアム平準化
 ・ゴールドカード発行
 ・バースデーカード送付

の段階では、他店では会員向け特典であるプログラムを

自店では通常に展開されているというような一段上の会員対応が

ポイントとなります。

【ゴールド層→プラチナ層】

●特別・特定・限定
 ・専用モバイル
 ・コンペティション参加資格
 ・VIP何でも相談コーナー
 ・優先取り寄せ
 ・特別・限定情報無料ツール
 ・特別待遇(名前で呼ぶなど)
 ・他業種連携割引制度
 ・特別送付
 ・個別対応

この段階になると、ロイヤルカスタマーになることで、

VIP会員として特別・限定・特定の便益を享受できる

魅力的な提供プログラムの展開がポイントとなります。

<まとめ>

以上のように、『顧客の来店動機に繋がる3つのエクイティに対し働きかけ、

カスタマーピラミッドをレベルアップすることで、来店頻度を増やし、

顧客の生涯資産化を高めることで、業績アップを実現する。』

これが、「カスタマー・エクイティ戦略」です。

業績アップに繋がる実践的営業戦略ですので、内容をひも解いて、ぜひご有効活用下さい。

今回以上です。

筆者紹介:田守順(たもり じゅん)
1959年5月3日、北海道帯広市生まれ。アミュゼクスアライアンス代表世話人。中小企業診断士。
明治大学商学部卒、多摩大学大学院経営情報研究科修了(MBA取得)。30歳の時、
父親の経営する企業に入社。経営者として3店舗だったホールを10年間で9店舗に拡大(2003年5月終了)。
1999年度日本青年会議所副会頭に就任。2014年から高崎経済大学の大教室で「ベンチャービジネス論」
「イノベーション論」を、2019年から明治大学経営学部の大教室で「サービス業の運営管理」の講義を行っている。

 

 

 

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