2023.7.4

どうする?!どうなる?!キャッシュレス決済

これまで数度にわたって、遊技場営業におけるキャッシュレス決済導入を取り上げてきた。公にされている事実関係をいま一度整理するとともに、導入に向けての課題と解決策について、ここで改めて考えてみたい。

まずは、業界団体の動きだ。遊技業界内でキャッシュレス決済導入をいち早く議論し出したのが、日遊協内のプロジェクトチームである。日遊協は、遊技場におけるキャッシュレス決済導入を図るべく一般社団法人キャッシュレス推進協議会にも加盟したものの、既存のキャッシュレス決済事業者(交通系ICやQR決済)からはOKをもらえなかった経緯がある。またMIRAIと余暇進が勉強会を開くなど、それぞれ研鑽を深めている段階にある。

一方、企業では日本ゲームカード・ジョイコホールディングスが、「電子決済サービスの開発」を目的としたNCLという子会社を2022年4月に設立している。このほか、店内ATMを主導したトラストネットワークがあり、グローリーナスカはデビット券売機を導入させ、マースエンジニアリングが「マースペイ」という商標を登録するなど、プリペイドシステム事業者はさまざまな動きを見せている。ほかにも、密かに動きを見せている企業がある。

そして最後は、プレーヤー側の認識である。日遊協が発表した「パチンコ・パチスロファンアンケート調査2022」によれば、「将来パチンコ店にあったら便利だと思う施設・サービス」の上位3つは、「キャッシュレスで遊技できるシステム」(33.9%)、「インターネットショップを利用できる景品交換システム」(27.3%)、「置き引き防止・犯罪抑止のための顔認証機能付きカメラシステム」(22.8%)だった。「キャッシュレスで遊技できるシステム」と「インターネットショップを利用できる景品交換システム」は2020年から2022年まで3年連続で値を伸ばしており、なかでも「キャッシュレスで遊技できるシステム」は3年連続で最も高い値を示した。約1/3のプレーヤーからキャッシュレスの要望が出ていること、要望する割合が年々高まっていること(26.5%→29.9%→33.9%)をどう受け止めるべきかである。

だが、遊技場におけるキャッシュレス決済導入は簡単には進んでいない。

有識者等から見聞していると、『運用コスト』と『提供メリット』の2つの点で課題があるようだ。さらに付加すれば、遊技場営業を巡る課題(『遊技機の管理運用』『広告宣伝の運用』や『貯玉・再プレーシステム』『賞品流通システム』など)も絡み合ってきているうえに、参入を図ろうとする事業者も乱立するという、言わばカオスな状況に陥っているように見える。全体最適よりも部分最適を優先すれば破壊的な結果となることは火を見るよりも明らかだが、現状では全体最適を見出すまでには至っていない。

ひとつ言えることは、「今すぐしたいこと」と「将来的にしたいこと」、「今すぐしないといけないこと」と「将来的にしないといけないこと」を、それぞれ分けることである。最終的な到達点(最終目標)は大きくてもいいが、ステップを作って、きっちりと段階を踏むべきだろう。監督官庁との絡みも出てくるが、法的解釈で済ませられるのか、法令改正が必要なのか、はたまた新法制定まで要求するのかで、まったく異なる対応が求められるということだ。さらに、プリペイドカード導入時とは状況が全く異なるということも理解しないといけない。全体の業況しかり、顧客などの社会情勢しかり、各企業の財務状況しかりである。

ただし、である。

他業界でキャッシュレス決済導入が進めば進むほど、現金を持たない顧客層が増えていくという現実である。となると、これまでの「パチンコ・パチスロは現金でするものだ」という常識が通じない顧客層への対応が必要となる。つまり、遊技場もキャッシュレス決済導入を避けては通れなくなり、現状のビジネスシステムを改革する意味も含め、遊技場経営企業は前向きに動いていくことが求められるのである。

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