2024.2.5

【期間限定公開】人財に育てる第6回「状況判断のポイント」

前回は「人材を人財に育てる」ことの重要性についてご説明しました。“人財”は、単にマニュアル通りの仕事を繰り返し行うだけではなく、日々の異なるお客様に対して適切な状況判断を行います。適切な状況判断ができれば、お客様の不満を減らせ、稼働の向上にもつながるのです。

人材コンサルタント 西岡 隆

■不満を生む、機械的な対応

明らかに常連と思われるお客様が、カウンターでタバコを交換しようとしている場面で、毎回毎回同じように「おタバコは何になさいますか?」と銘柄の質問するのは「駄目な接客だなぁ」と思います。そこは「××でよろしいですか?」と簡単な確認で済ませるべきでしょう。誰に対しても同じように対応する機械的な接客は、往々にしてお客様をイライラさせるものです。一見のお客様とは異なる、常連や顔見知りのお客様に相応しい対応をするべきです。状況にあった応対をどのようにすべきか、それを考えて判断を重ねていくことが“人財”への歩みとなります。

■お客様の関心を示す目線

状況を判断するためには、お客様の “目線”“表情”“手の動き”に注意するようにします。

ホール内できょろきょろと目線が動いているようなお客様は、おそらく初めてご来店くださったお客様です。また、席で遊技説明書をご覧になっているお客様は初めてその遊技機で遊ぼうというお客様でしょう。目線はお客様の関心事を示します。ホールできょろきょろしているお客様には「何かお探しですか?」、遊技説明書をご覧になっているお客様には「ご不明な点はありませんか?」と声をかけることもできるでしょう。

■気持ちは表情に

パチンコ・パチスロはお客様の感情の起伏が激しくなる遊びです。お客様が“勝っている”のか “負けている”のかで自ずとその対応は異なります。お客様の表情には注意しましょう。イライラしているお客様に対して、長々と会員カードの特典を説明することは無駄なだけでなく、反感を買うことになってしまいます。表情は、顔だけではなく声にも表れます。「精算機はどこにある?」という一言にも、怒りが表れている場合があるのです。そのような声の表情の違いに気づかないとお客様に「鈍感なスタッフだな」と思われてしまうことでしょう。

■手の動きから先手を打つ

手の動きにも、お客様の感情が表れています。お客様がパチンコのハンドルをがちゃがちゃと乱暴に動かすのは玉跳びが悪いからだと想像できます。パチンコ機の端をがんがん叩いたり、上皿の奥に手を突っ込んだりしているお客様は裏詰まりが気になっているのでしょう。呼び出しランプを押される前に、そのことに気がつけば対応を早めることができます。また、そのような遊技機のトラブルに自分自身が対処できなかったとしても、気づいた時点で役職者をインカムで呼ぶことができます。それが、ランプが点いた後でお客様に呼ばれた理由を聞いてからの対応になってしまったのでは、お客様の不満は大きくなります。また、その遅れた対応の時間分稼働が落ちてしまいます。稼働の良い店というのは、お客様にストレスを感じさせずに遊技を続けていただけるからこそ稼働が高くなるのです。

▼朝礼の活用

状況判断のあり方については、具体的な事例を使ってどのように考えるべきなのかを朝礼などの時間でスタッフに共有してもらうことが望ましいでしょう。朝礼の司会者や接客の指導者にあたる人が具体的な事例を用意し、その状況ならどう判断すべきかを参加メンバーに意見を聞くのです。意見を出し合うことで店のサービスのあり方の方向性が定まってきます。接客用語の唱和やお辞儀のトレーニングも重要ですが、同じことを繰り返すだけではなく、自分で考え判断するトレーニングにも時間を割くようにしましょう。

筆者プロフィール:西岡隆(EBI 人材コンサルタント) 
2004年EBI入社。人材開発研修、新卒採用支援などに従事。本部・店舗での豊富な人材育成経験に基づく、具体的で分かりやすい研修が好評。

成長を続けよう
パチンコ店のためのeラーニングシステム
https://bit.ly/EBI_el

このページの内容をコピーすることはできません