2021.8.30

成人の2.2%に依存疑い 基本法に基づく初の実態調査

厚生労働省は8月27日、「ギャンブル等依存症対策基本法」に基づく実態調査の結果を公表し、過去1年における依存が疑われる人の割合が2.2%だったことを明らかにした。一部報道では、人口に換算すると約196万人に相当するとしている。
 
調査は2018年に施行された基本法に基づく初めての実態調査として、昨年10月から12月にかけて実施。無作為抽出された18歳から74歳までの1万7,995人に対して自記式アンケートを郵送し、郵送またはインターネットで8,223人から回答を得た。病的ギャンブラーを検出するための「SOGS」を使い、依存が疑われる人の割合の推計などの実態把握を行ったほか、相談機関や自助グループの利用者を対象にした問題の把握、多重債務・貧困・虐待・自殺などの「ギャンブル関連問題」に対応する相談機関を対象にした調査も合わせて行われた。
 
過去1年におけるギャンブル等依存が疑われる人(SOGSで5点以上)の割合である2.2%の内訳は、男性3.7%、女性0.7%だった。依存が疑われる人の過去1年間にギャンブル等に使った金額1カ月あたりの中央値は5万円で、最もお金を使ったギャンブル等の種類は、男性ではパチスロ(35.4%)、パチンコ(34.6%)、競馬(12.3%)と続き、女性ではパチンコ(60.0%)、パチスロ(16.0%)、ロト・ナンバーズ等含む宝くじ(16.0%)の順だった。ただし、報告書の概要では、それぞれの種目をどれだけの人が行ったのかが示されていない。
 
また、ギャンブル等依存が疑われるSOGS高得点の者では、5点未満の者と比べて、うつ・不安傾向が強く、自殺を考えたことや実際に自殺をしようとした経験が多かった。そのことを受けて報告書では、「ギャンブル問題への対策を検討する際、関連問題に対しても配慮が必要」としている。さらに、ギャンブル等依存症に対しては、他の疾患と比べて、病気になるのは本人の責任と考える者の割合が高かったことから、「依存症は誰でもなり得る病気であるという正しい知識の更なる普及啓発が必要」としたほか、依存症が疑われる人は、コロナ禍でインターネットによるギャンブル等をする機会が増えた者が多い傾向が示唆されたことから、「インターネットによるギャンブル等とギャンブル等依存症の関連について、今後より詳細な検証が必要」とした。
 
2017年に日本医療研究開発機構が対面で行った全国調査では、ギャンブル等依存が疑われる人の割合は男性1.5%、女性0.1%で全体0.8%だった。これを日本の人口で換算すると約70万人と推計されるが、一般マスコミの多くは再び「生涯」における数値を引用し「ギャンブル依存症320万人」などとしていた。また、2013年度の厚生労働省研究班の「アルコール有害使用に係わる実態調査」に付随して簡易的に行われたギャンブル等依存症に関する全国調査では、生涯のギャンブル等の経験を対象とした依存症の疑いのある者の割合が4.8%、人口推計536万人と報告され、IR問題と絡めたその後の報道によってパチンコ業界にも極めて大きな影響を与えていた。
 
また、2017年に、日工組の財団である社安研がパチンコ専用の調査尺度を使用した全国調査を行い、直近1年間の遊技経験に基づく遊技障害(依存)の疑いのある人の数を、日本の人口換算で約40万人と推計していた。
 
今回の報告書では、対面調査の場合は調査員に対して自分を良識的な人間と見せようとすることでバイアスが生じることから、自記式の調査の方がギャンブル問題のようなデリケートな質問でバイアスの影響を受けにくく、正直な回答を得られた可能性があるとしている。また、一般的にギャンブル問題が多いとされる集団の特徴を持つウェブ回答を追加したことも、SOGSで5点以上の割合が高くなった理由と考えられるとしている。
 
 

このページの内容をコピーすることはできません