【短期連載第3回】使用済み旧規則機の適正処理の完遂 〜非加盟製のシステム参加〜

1994年から社会問題化した使用済み遊技機の野積み放置。写真は2002年の栃木県鹿沼市の野積みの様子

来年11月末までに、日工組の指定処理業者(日工組広域回収システム)と遊技機リサイクル協会加盟処理業者など適正処理業者の年間処理能力を超える台数の旧規則機が撤去・排出される。適正処理業者がすべての使用済み遊技機を処理するには、処理作業を待つ間の一時保管が必要になるため、撤去・排出が一時期に集中した場合には、処理業者の保管倉庫がパンクする可能性がある。さらには、現在でもホールや取引業者の倉庫には大量の使用済み遊技機が保管されたままになっている。旧規則機完全撤去までの流れのなかで使用済み遊技機が適正処理業者以外のルートにわたった場合、適正に処理されたかどうかが把握できなくなるため、過去に社会問題化した廃棄台の野積み(不法投棄問題)が再発する可能性も否定できない。この不法投棄問題とは、1994年に埼玉県寄居町で大量の使用済み遊技機が野積み放置されていたことが新聞等で報道され、その後一気に社会問題化した事案を指すが、同様の不法投棄は他の地域でも確認された。当時はメーカーや販社などの業界団体が費用を出し合い、不法投棄された大量の使用済み遊技機を撤去したが、この不法投棄問題がひとつの契機となって2003年、日工組がメーカー側の費用負担による遊技機回収システム(現在の広域回収システム)を構築するに至った。また、遊技機リサイクル協会もその前身となる組織が2002年に設立されている。

 

倉庫整理を促して適正処理の完遂を支援

適正処理業者がすべての旧規則機を「適正処理」するためには、やはりホールの計画的な排出が必須になる。順次撤去されていく旧規則機の排出の前に、まずはホールや取引業者の倉庫に大量保管されている使用済み遊技機をいち早く排出する必要があるが、ホールとしては撤去期限に合わせたメーカー下取りの可能性も考えられ、そう簡単に排出できない事情もある。こうしたなか、日工組では今夏以降、適正処理業者のスムーズな処理を側面支援しようと、倉庫に眠る使用済み遊技機の早期排出を促す「Let’s!! 倉庫整理!!」と題したキャンペーンを展開している。これは、日工組の委託を受けた指定処理業者4社の「買取回収」によってホールの倉庫整理を促すという施策だが、日工組メーカーが運搬・処理費を負担する仕組みだからこそできる取り組みになっている。また、日工組メーカーのなかには、倉庫に眠る自社製の使用済み遊技機を買取りし、今後の新台購入時に通常の下取り値引きと併用できる特別割引を付与するという個別の取り組みを展開するところもある。さらに、ホールの倉庫整理を目的にした「下取り値引券」という新しい施策を打ち出したメーカーもある。倉庫保管されている使用済み遊技機をメーカーが安価で買い取る代わりに、下取り差額分の値引券を発行。例えば下取り価格が5000円だったら1000円で買取り、今後の新台購入時に差額の4000円分を値引きするというスキームだが、この個別の取り組みには、ホールに倉庫スペースを空けてもらい、今後の撤去台の処理待ちの間に倉庫保管しておくことで適正処理業者をサポートしてほしいという狙いもあるという。

 

早期排出を促すエリア独自の取り組み

倉庫に大量保管されている使用済み遊技機の早期排出については、11月に九州地区の業界各団体(メーカー、販社、運送業者など)の協力によるエリア独自の取り組みも表明されている。この取り組みは、ホールが倉庫から安心して使用済み遊技機を排出できる各種情報の配信に加え、独自の不要台回収フロー「九州回収システム」を軸にする。システムの概要は、新台納品時に運送業者のトラックの荷台に空きスペースがあれば、納品先のホールだけでなく周辺のホールの使用済み遊技機もまとめて回収するという枠組みになっており、運搬・処理費用がメーカー負担になっている日工組広域回収システムを土台にする。そもそもコロナ禍で業界バッシングが起きた流れのなかで、万が一不法投棄が発生した際のダメージは計り知れない。そうした事態を防ぐために九州地区の業界各団体が独自に立ち上がったわけだが、11月開催の余暇進理事会に寄せられた行政講話の文書のなかでもこの取り組みが言外に示され、「過去の反省が活かされた取組」と評価された。ちなみに、行政講話で廃棄問題に触れられるのは近年ではあまり例をみないが、今回の文書では「適正かつ計画的な廃棄処理に遺漏がないよう」求める内容も盛り込まれており、適正処理の遂行について行政が注視していることがうかがえる。

 

適正処理の完遂に向けた問題意識の共有

業界各方面で進められている使用済み遊技機の早期排出に向けた取り組みは、「適正処理」の担保になっている「適正処理業者による処理」が前提になる。しかし一方では適正処理業者にわたるルートが確立されていない使用済み遊技機も存在する。日工組広域回収システムと遊技機リサイクル協会のシステムに参加していないパチスロメーカーの使用済み遊技機だ。非加盟メーカー製について現状では、適正処理が行われたかどうか担保する仕組みは整備されていない。本来なら非加盟製はホールの処理費負担が生じるが、これまで適正処理業者の枠外対応などもあり、問題視されてこなかった。それを可能にしてきた適正処理システムの存在についても「よくよく考えればありがたいが、そこまで関心がないのも事実。逆に少しでもお金になるように処理している」(首都圏の大手ホール企業)と認識は薄い。しかし来年の旧規則機完全撤去までに排出される使用済み遊技機の排出量を考えれば、これまで通りにはいかない可能性もある。「コロナ禍、新旧規則機の入替と大変な状況だが、廃棄問題はそもそも業界全体で取り組むべき問題。不法投棄で業界バッシングが起こることがあってはならない。もちろんホールは計画的な排出に協力していかなければならないが、業界全体の協力も必要。適正処理するシステムに参加していないパチスロメーカーも問題認識してほしい。費用の問題もあるとは思うが、すでに手本となるシステムがあるのだから協力する姿勢をみせてほしい」(九州の中堅ホール企業)。とりわけパチスロ旧規則機が適正処理されなかった場合、不法投棄に加えて闇スロへの流出といった問題もある。そうした事態の回避には、やはり非加盟メーカーの対応も含めて、業界のそれぞれの立場で改めて考える必要がある。

 

課題となる非加盟製のシステム参加

年始に大量撤去が予定されている「沖ドキ」は、いま混乱の様相をみせている業界情勢を踏まえると、撤去が完全に進むかどうかみえない部分もある。「さすがにスケジュールの通り撤去になると思うが、今回もメーカーの下取りや買取りが示されていない。もし何らかのメーカー対応があれば、撤去の後押しになると思う」(首都圏の中堅ホール企業)。とりわけ「沖ドキ」は、回収業者の買い手がつきにくい液晶非搭載機。さらに非加盟製のためメーカーの処理費負担がなく、適正処理システムの指定処理業者でも扱いづらいところがある。「複数の倉庫を借りているが、設置用の台と撤去台のストックでただでさえ逼迫している。『沖ドキ』を撤去して倉庫にずっと置いておくわけにはいかないので、何とか買い手を探さないといけない。来年末には倉庫の数も減らせると思うが、現状では倉庫代が重いまま。処理費を負担するようなことだけは避けたい」(関東の大手ホール企業)。事態の収束に向けて指定処理業者などの取引先が何とか対応する見込みがあるとしても、メーカーから下取りなどの対応が示されない上に買い手もつかないとなれば、ホールの燻っている不満が大きくなっていくことも予想される。少なくとも業界の適正処理システムは、費用負担が明確でホールも取り組みやすい。業界全体でスムーズな撤去を進めるためにも、非加盟メーカーのシステム参加が望まれている。

 

backnumber【短期連載第1回】使用済み旧規則機の適正処理の完遂 〜撤去後の「凱旋」のいま〜

 

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